荻原:法人税が高いと、企業の国際競争力が弱くなる、企業が海外に逃げてしまうというのが、政府の言っている理由です。たしかに、自動車産業など、ものづくりの工場はすでに海外にかなり移っています。でも、本社まで海外に移す会社は少ないと思いますよ。だから、法人税の税率を下げるのは、お金持ち優遇策でよくありません。

コビン:へえ、そうなの。知らなかった!

荻原:税率を下げて企業はもうかっているのに、働く人の給料を上げるわけではなく、お金をため込んでいるのも問題よ。

■消費税率を上げたら、みんながモノを買わなくなる

コビン:10月に消費税率を10%にしたら、どんなことが起きるのかな?

荻原:「消費税が上がる前に!」と買い物をする人はいるでしょう。でも、上がった後は、「消費税をこんなに取られるのなら、買うのはやめよう」という人が多くなるでしょう。しかも、給料は上がらないのに、ほかの税金や医療保険などの社会保険料も上がっていますから、多くの人が「買わない」という選択をします。だから、ひどい不況になりますよ。

コビン:軽減税率を取り入れても?

荻原:軽減税率といっても、8%ですよ。食料品は税率0%という国もあるのに、これではあまり影響がないですよ。しかも、そばを出前にしたら8%だけど、お店で食べたら10%だなんて、よくわからなくて混乱するばかりでしょう?

コビン:じゃあ、消費税は上げないほうがいいんじゃない?

荻原:消費税は、みんなから広く薄く税金を取れるという、一番取りやすい税金の取り方だから、財務省はどうしてもやりたいんです。でも、安倍首相が人気を上げるために、直前になって「10%はやめます!」なんてことを言うかもしれませんね。

コビン:エエッ? そんなこと、あるの?

荻原:今までにも2回延期した(※注)から、わかりませんよ。でも、膨大な国の借金を子どもたちの世代に回さないためには、税収をどう増やすのか、もっと議論する必要があるね。

(※注)安倍首相は、2014年11月と16年6月の2回、予定していた消費税率アップを延期しています。

【キーワード:不況】
経済の全体的活動が停滞している状態。不景気ともいう。企業の利益が減り、失業率が上がる。

【キーワード:財務省】
国の行政機関のひとつ。国が活動するために必要な収入を確保し、管理するのが主な仕事。

※月刊ジュニアエラ 2019年3月号より

ジュニアエラ 2019年 03 月号 [雑誌]

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AERA編集部
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