公共サービスに使われる税金。誰がどれぐらい出すのがいいのだろう? 小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ」2019年3月号では「消費税」「税金」を大特集。「ジュニアエラ」のキャラクター・コビンが、税金の集め方について、経済ジャーナリストの荻原博子さんに聞いた。
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■「お金持ちから多く取り、貧しい人のために使う」のが、税金の正しいあり方
コビン:税金が必要なことはわかったけれど、誰がどれぐらい払うのがいいのか、よくわからないな。
荻原:政府の大きな役割のひとつに、「富の再分配」があります。お金持ちから税金を多めに出してもらって、それを貧しい人たちも安心して暮らせるような社会保障や医療に使う。それが、政府のあるべき姿です。
コビン:そんなことをしたら、お金持ちが不満を持つんじゃない?
荻原:極端に貧しい人が多かったり、病気になっても医療のお世話になれない人が増えたりすると、結局は社会が負担するお金が増えるの。だから、状態が悪くなる前に早く援助することによって、社会全体を安定したものにすることが必要。それが、お金持ちにとっても、安心して暮らせる社会にする方法なのよ。
コビン:ふうん、「富の再分配」が必要なんだね。
荻原:日本は長い間、多くの人が安心して暮らす中間層が多い国といわれてきました。でも、最近はお金持ちと貧しい人の格差が広がっています。本当は格差が小さい社会のほうが、安定していて望ましいんだよ。
■消費税率を上げて法人税率を下げた! これはお金持ち優遇策
コビン:消費税はどうなの?
荻原:税の公平性という点で、消費税には問題があるの。食費は、所得が低い人でも高い人でもほぼ同じようにかかる費用です。ここに10%の税金をかけると、支出全体の割合から見ると、所得の少ない人の負担が大きくなってしまう。だから、こういう逆進性のある消費税の税率を上げるということは、お金持ちを優遇することになってしまいます。
コビン:じゃあ、どうすればいいのかな?
荻原:消費税の税率を上げることによって、税収の中で消費税の割合が徐々に上がっています。ところが反対に、法人税の割合は減っています。これは、法人税の税率を下げているからです。
コビン:税金が足りないと言っているのに、なぜ法人税の税率を下げたの?
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