男子ストリート決勝でトリックを成功させ、スケートボードを抱えてコーチの元に走る堀米雄斗(c)朝日新聞社
男子ストリート決勝でトリックを成功させ、スケートボードを抱えてコーチの元に走る堀米雄斗(c)朝日新聞社

 初代金メダリストに輝いたのは、地元を愛してやまない22歳だった。

【写真】まだあどけない?20歳の堀米雄斗

 東京オリンピックから新たに加わった4競技の一つであるスケートボード。25日に東京・有明アーバンスポーツパーク(江東区)で開催された男子ストリートに出場した堀米雄斗(22)が安定感抜群の滑りで優勝した。

 堀米が生まれ育ったのは、会場となった江東区。金メダルの獲得から一夜明けて臨んだ会見では、「江東区で五輪が開催されて、自分がその舞台に立ててうれしい。そこで金メダルを取れたのは今でも信じられないくらいうれしい」と地元愛を見せた。

 週刊誌「AERA」では、堀米本人と11歳の頃から堀米を指導してきた早川大輔コーチにインタビューしていた。早川コーチは当時、「(堀米の)運動神経は並」と答えながらも、堀米がスケートボード選手として強い理由を三つ、挙げていた。ここでは2019年8月5日号で力強く語っていたインタビューを紹介する(肩書きや年齢は当時)。

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 日本発祥の空手に続くのは、米西海岸生まれのスケートボード。湾曲面を組み合わせたコースで競う「パーク」と、街中を模したコースを滑る「ストリート」の2種目が実施される。

 ストリートで昨年、世界の度肝を抜いたのが堀米雄斗(20)だ。世界最高峰となるリーグ戦で、史上2人目となる3戦全勝を達成した。

 ひょろりとした細身の体にあどけなさが残る青年なのに、ボードに乗って滑り出せば、独創的なトリック(ジャンプなどの技)を連発。タトゥーをまとった筋骨隆々の外国人ボーダーたちを「アメージング!」とのけぞらせる。東京五輪でもメダルの期待がかかる堀米は自分に言い聞かせるようにこう話す。

「スケートボードが五輪競技になったのは素直にうれしいし、いろんな人に知ってほしい。もう一つの目標として、この競技らしいストリートのカルチャーを僕自身が忘れないようにしてみんなに伝えたい」

 この競技、日本では競技というより「遊び」に近い感覚か。日本スケートボード協会が認めるプロ資格者は100人。小さな裾野から、なぜこれほどの逸材が生まれたのか。

「運動神経は並。でも、ほかに凄いものを持っている。世界でこんなヤツは10年、いや30年にひとりかもしれない」

 そう高く評価するのは、堀米を11歳から指導してきた早川大輔(45)。その根拠として三つの素質を挙げた。

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堀米の強さ「3つの素質」