3月13日リリースのCDボックスセットのリマスタリングに、米国のエンジニア、テッド・ジェンセンが参加。多くのライターによる約400ページに及ぶブックレットでも、佐野の歴史をたどることができる(写真/ソニー・ミュージックソリューションズ提供)
3月13日リリースのCDボックスセットのリマスタリングに、米国のエンジニア、テッド・ジェンセンが参加。多くのライターによる約400ページに及ぶブックレットでも、佐野の歴史をたどることができる(写真/ソニー・ミュージックソリューションズ提供)

──40年間、曲作りとライブを続けた。常に新しい何かを模索してきた。創作意欲の源泉はどこにあるのか。

佐野:僕も不思議に思います。いまだにソングライティング、サウンドをデザインすることについてハングリーですし、興味がつきない。これを試したい、あれもやってみたいという欲がまだある。いつになったら終わるんだよって自分に聞いてみたいくらい。良い曲を書き、ステージで良いパフォーマンスをする。これを最後まで全うするのが自分の人生なのかな。

 最近は曲を書いていると、これまで自分が触れることができなかったビジョンにまで触れてみたいとか、より人生の深いコアにまでたどり着きたいとか、そういう気持ちが少しずつ出てきています。

■最高のメッセージを

──日本武道館でコンサートがある日は65歳の誕生日。同日、EPICレーベル期の集大成となるボックスセットも発売される。

佐野:コンサートは限られた形ではありますが、僕とバンドのパフォーマンスを皆さんに楽しんでもらいたい。最高のメッセージをみなさんに約束したい。ボックスセットについては、これは僕が80年から04年までエピックソニーレーベルに所属していた間のすべてのスタジオアルバム、ライブアルバム、コンピレーションが新しい仕様で収まっている特別なボックス。僕とエピックソニーが共同して歩んだ大事な記録であるのと同時に、80年代以降の日本のポップロックのヒストリーをほのかに感じてもらえるような価値のあるボックスセットになっています。チャンスがあれば、手に取ってみてほしい。

(編集部・小田健司/取材はオンラインで実施)

※AERA 2021年3月8日号