■スピッツは変われない
草野:俺は昔の歌声とか聴くと恥ずかしいけどね(笑)。ただ、曲に関してはそんなにかな。さすがに15、16のときに書いた曲を聴いたらめちゃくちゃ恥ずかしいけど、そこから何となく手応えを掴んできたときにスピッツを結成したから。10代の曲が何で恥ずかしいかっていうと、言葉が背伸びしたり見栄張ったりしてるから。「それじゃだめなんだ」って、何年か作ってるうちに気づいた。そこから世界観はリアルではなく、時にシュールだったりするんだけど、選ぶ言葉は等身大の自分が共感できるものに変わっていった。曲に関してもそうかな。背伸びして、その時々で流行(はや)っている音楽を取り入れたりはしないから。
――スピッツの音楽は変わらない。だから古びもしない?
草野:と言うより、変われないんですよ。そんなに器用じゃないんでね。同じ時期にデビューしたOriginal Loveが「渋谷系でかっこいいぞ!」と思っても、結局同じようにできなかった。多分、ヘヴィメタルをやってもスピッツっぽくなっちゃう。
三輪:あーそうね。
田村:我が道を行くというか、解釈が遅いというか……。
三輪:CDが出てきたときも、最初は「ぜってぇ買わねーぞ」って思ってたから(笑)。
草野:10代の頃はレコードばっかり聴いてたからね。ただ発表の形式はそれほど重要じゃないっていうか、「作った曲を人前で演奏して聴いてもらうこと」が自分たちのベースなので。ライブが根幹にあるのはずっと変わらないかな。
三輪:ツアー中に楽屋でくっちゃべってるだけでも、新しいヒントは出てくるしね。
草野:ずっと同じことしゃべってます、若いときから。
三輪:盛り上がるのは10代のときに聴いた音楽の話だよね。
草野:あと一時期は全員で同じゲームをやったり。
崎山:ドラマとか野球とか、最近は健康の話がホットです(笑)。
■同じ熱量で進んでいく
田村:些細なことでも、何かを決めるときは必ず4人で相談してきたよね。それも長く続いてるポイントかもしれない。事務所と今後の話し合いをするときも、メンバー全員の同意を得たうえで進んでいく。