占い師、作家 しいたけ.
占い師、作家 しいたけ.

 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:ふたご座の彼がいます。彼は男女の友情は完全にないと思っていますが、私には10年以上の付き合いの男の親友がいます。今までの関係を話しても、理解してもらえません。彼と親友を会わせたら分かってもらえるかとも考えますが、逆に不愉快にさせてしまう心配も

あります。理解できない人がいる、と諦めた方がいいのか、受け入れてもらえるように説得してもいいのか、悩んでいます。(女性/会社員/28歳/うお座)

A:10代や20代の頃って、毎日に「査定」があった気がします。この人は何ができて、どういう人なのか。特技とか性格とか、どこで働いているかとか。周りから査定されるし、自分自身も他人と比較して査定してしまう。お付き合いされている相手の方も、そういう査定がある世界だからこそ、自分以外の人間を見てほしくない気持ちがあるのかもしれません。でもそういう「嫉妬心」って、人と人をつなぎとめる束の中の、大事な一つだとも思うんです。

 今回、あんまり奇想天外な答えができなくて申し訳ないんですが、このご相談についての魔法みたいな解決策がないと僕は思っています。

 この先も一緒にいて、同じ屋根の下で生活をしていくことになったとします。やっぱり赤の他人同士だし、価値観の違いって本当にたくさんある。どちらかが「これぐらい、いいでしょ」と思っていることに対してどちらかがきついと感じたり。それに対して魔法はないんですよね。

 できるのはやっぱり「話し合う」ことだけ。せっかくの機会だから、この話だけに限定するんじゃなくて、お互いに対して気になってしまうことをテーブルの上に並べ合う時なのかもしれません。

 この話だけに限定しちゃうと、「それぐらい、いいじゃん」と思ってしまうし、相手も譲れなくなっちゃう。男友達に会うことに対する嫌悪感の裏に、何か別のメッセージが必ずあるはずです。仕事が終わった時に、もうちょっと自分に構ってほしいみたいなことかもしれないし。それを全部並べてみて、どこが気になるのか話し合えたら、スッキリし合えるんじゃないかな。

 うお座は独自のカルチャーといろんなテリトリーを持っている人たちで、自由に泳ぎ回っているような人が多い気がするんですよね。彼にしてみたら、この方が魅力的に映りすぎてしまって、他の人と仲良くしちゃうんじゃないか、って不安なのかもしれないですよね。うお座の人たちに、周りのためにぜひやっておいてほしいことがあります。わずらわしいかもしれないんだけど、「どういう目的があってこういう行動をしてる」ということをなるべく言葉で説明してほしいんです。そうすると周りは安心できるから。

「あなたとの関係をこうするつもりです」とかも含めて、今自分ができる約束や考えを伝えておく。感覚的に自分が必要としているものを、言葉に直して相手に伝える訓練というか。それは相手のためだけではなく自分のためにもなる気がします。

◎しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「VOGUE GIRL」での連載「WEEKLY! しいたけ占い」でも人気

AERA 2023年3月13日号

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しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「しいたけ. 公式サイト」では月刊占いやコラムを連載中。 https://shiitakeofficial.com/

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