事実上の利上げに市場は反応、円高が急速に進み、日経平均株価は急落した=いずれも2022年12月20日
事実上の利上げに市場は反応、円高が急速に進み、日経平均株価は急落した=いずれも2022年12月20日

 日本銀行が大規模な金融緩和を見直し、長期金利の上限を0.25%程度から0.5%程度へ引き上げた。今回の政策変更で、住宅ローンへの影響が懸念されるが、専門家はどう見るのか。住宅ローン比較サービス「モゲチェック」の堀江勇介さんに聞いた。AERA 2023年1月2-9日合併号の記事を紹介する。

【図】日銀が示す長期金利の上限はこちら

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──日本銀行が大規模な金融緩和策の修正を決めたことで、住宅ローン金利の行方に注目が集まっています。

 住宅ローン金利には、時々の金利情勢に合わせて変わる「変動金利」と、金利が変わらない「固定金利」の二つがあります。まず、変動金利を見た場合、今回の金融緩和による影響はなく安定した低金利が続くと見ています。

■「変動」は上がらず

──変動金利は上がらないと考える理由は何でしょうか。

 変動金利は、短期プライムレート(短プラ)と呼ばれる金利に連動しています。短プラは短期の金利指標で日本銀行のマイナス金利政策の影響を受けますが、今回は変更されていません。加えて、今や変動金利は各銀行の顧客獲得競争の主戦場です。金融政策と銀行間競争の両面から、変動金利は上がらないと考えています。

──では、固定金利はどうでしょうか。

 多少は上がるかもしれません。ただ、上がり幅は限定的と見ています。

──なぜでしょう。

 固定金利は各銀行が市場金利を参照して決定しますが、モゲチェックの分析では「長期金利が0.5%になった状態」をすでにある程度織り込んで固定金利が決定されていると見ています。なので今後発表される固定金利は、銀行によってばらつきはあるかもしれませんが、全体としてはさほど大きく上がらないだろうと思います。

──限定的とは言え、「金利が上がる」と聞くと気になります。

 見通しは難しいですが、早ければ年明け1月に発表される固定金利は0.1~0.2%程度上がる可能性があります。日本銀行は長期金利の上限を0.25%引き上げましたが、それよりは上がり幅が小さいイメージです。ちなみに金利が0.1%上がると、仮に3500万円の住宅ローンを35年で組んだ場合、総返済額は約70万円上がる計算になります。

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