ソニーは「僕みたいな人間が受け入れてもらえる会社」と話す河野弘(photo 写真映像部・東川哲也)
ソニーは「僕みたいな人間が受け入れてもらえる会社」と話す河野弘(photo 写真映像部・東川哲也)
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 ソニーグループが営業利益1兆2023億円(2022年3月期決算)をたたき出した。営業利益1兆円超えは国内製造業ではトヨタ自動車に次ぐ2社目だ。家電の不振から復活した原動力は、そこで働く「ソニーな人たち」だ。

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 短期集中連載の第6回は、ソニー執行役員常務、サービスビジネスグループ長、ブランド担当の河野弘さん(60)だ。堅物ではダメ。頭でっかちでまじめなやつも無理。バカじゃないと……。そんな社長の意向と期待に応えたのが、若き日の河野さんだ。その働き方とは。2022年12月26日号の記事を紹介する。(前後編の前編)

*  *  *

「ソニーは、どういう会社ですか」。そう聞くと、彼は少し考えたのち、こう答えた。

「僕みたいな人間が受け入れてもらえる会社ですよ」

 長年、ソニーを取材して感じるのは、この会社にはおもしろい人がたくさんいるということだ。魅力的な人が多いのだ。

 なぜ、そう感じるのか。自分の思うがままに、積極的に人生を切り拓こうとする人が多いからに違いない。

 彼もその一人だ。その前向きで意欲的な生き方は、ソニーの企業風土とぴったり合致する。ただ、彼のキャリアは、世の中の動き、トップの意思によって、自身の希望やコントロールを超え、様々な挑戦を強いられる中で形成されていく。

 異動先は、つねに知見のないところだった。毎回、ゼロからのスタートを余儀なくされた。同情する声すら聞かれた。

 その彼とは、ソニー執行役員常務、サービスビジネスグループ長、ブランド担当の河野弘(60)だ。大学在学中は、六大学野球で活躍。俗にいう知的体育会系である。二塁手だった。

■一番きついところに

 野球少年の彼は、「将来は、プロ野球選手になるんだ」と心に決めていたが、かなわなかった。1985年にソニーに入社した。選んだ理由は、「海外に行けるチャンスがあり、自由な雰囲気が自分に合いそうだったからなんです」という。

 入社後、国内営業に配属された。どこにいきたいかと聞かれ、「一番、お客さんに近いところ」と答えた。

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