スペイン戦の試合後、勝ち越しゴールを決めた田中碧(上)とアシストした三笘薫は抱き合って喜んだ。2人は幼なじみでもあることから、このシーンは脚光を浴びた(photo アフロ)
スペイン戦の試合後、勝ち越しゴールを決めた田中碧(上)とアシストした三笘薫は抱き合って喜んだ。2人は幼なじみでもあることから、このシーンは脚光を浴びた(photo アフロ)

 サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で日本代表が敗退した後も現地で世界の戦いを取材し続けてきた記者が、改めて森保ジャパンの戦いぶりを振り返った。2022年12月26日号の記事を紹介する。

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 空気を読めないというのは私のような人間のことを言うのだろう。

 日本ではW杯カタール大会に出場した日本代表の森保一監督(54)や選手たちが帰国し、テレビなどメディアに引っ張りだこだと聞く。かくいう私は日本代表の敗退後も現地に残ってW杯の取材を続けてきた。本稿の締め切り時点で日本時間12月19日の決勝の結果はわからないが、アルゼンチン対フランス、そしてメッシ対エムバペという新旧スター対決に心をワクワクさせている一方で、いまだ日本代表の戦いぶりと結果にモヤモヤした気持ちでいる。

 目標としていた史上初のベスト8進出は逃したものの、1次リーグでは第1戦のドイツ、第3戦のスペインという優勝経験国を連破し、世界中を驚かせた。決勝トーナメント1回戦でクロアチアにPK戦の末に敗れはしたが、世界屈指のMFモドリッチ(37)を擁する前回準優勝国と互角に渡り合った戦いぶりも立派だった。

クロアチア戦で先制ゴールを決めた前田大然(photo PA Images/アフロ)
クロアチア戦で先制ゴールを決めた前田大然(photo PA Images/アフロ)

■確実に強くなっている

 日本代表は確実に強くなっている。12年前の2010年南アフリカ大会で日本代表は初めて国外で開催されたW杯で16強に進出。当時、本田圭佑ら4人だった海外組は、過去最多の19人にまで増えた。

 日本代表にとって7度目のW杯となったが、今回ほどケガ人などが出て望んだメンバーが組めなかったことはなかった。4試合を戦い、フル出場したのはGK権田修一(33)と主将のDF吉田麻也(34)の2人のみ。主軸として期待していたMF遠藤航(わたる、29、スペイン戦で先発を外れた)、MF守田英正(27、ドイツ戦を欠場)、DF冨安健洋(たけひろ、24、3試合に出場したが、うち2試合は途中出場)、DF酒井宏樹(32、第2戦のコスタリカ戦と、スペイン戦は出場せず)はフル稼働とはいかず、クロアチア戦ではDF板倉滉(こう、25、累積警告で出場停止)とMF久保建英(たけふさ、21、体調不良)を欠くことになった。それでも、彼らの不在が致命的にならなかったのは選手層の厚さを象徴していた。

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