PK戦は日本が先攻。1人目の南野拓実は右を、2人目の三笘薫は左を狙い、GKリバコビッチに止められた。3人目の浅野拓磨は右に決めたが、4人目の吉田麻也は左に蹴って止められ敗れた。クロアチアは3人目だけが失敗した(写真:AP/アフロ)
PK戦は日本が先攻。1人目の南野拓実は右を、2人目の三笘薫は左を狙い、GKリバコビッチに止められた。3人目の浅野拓磨は右に決めたが、4人目の吉田麻也は左に蹴って止められ敗れた。クロアチアは3人目だけが失敗した(写真:AP/アフロ)

 サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で、日本は悲願の8強進出を逃した。決勝トーナメント1回戦で、前回準優勝のクロアチアにPK戦の末、惜しくも敗れた。AERA 2022年12月19日号の記事では、対クロアチア戦のハイライトを分析する。

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 4度目の挑戦となったが、またしても8強への重い扉を開くことはできなかった。

 サッカーのW杯カタール大会で、日本は12月5日(日本時間6日)、初の8強入りをかけて決勝トーナメント1回戦で前回準優勝国クロアチア戦に挑んだが、延長を含めた1-1からのPK戦で1-3と敗れた。

 前半43分、先制したのは日本だった。この大会では4試合目で初めての先制点。右CKからMF堂安律(24)がMF鎌田大地(26)、MF伊東純也(29)とのパス交換を経てクロスを上げると、中央でDF吉田麻也(34)が相手と競り合い残したボールをFW前田大然(25)が左足で押し込んだ。

 課題だったセットプレーからの得点、さらに今大会1トップで3試合に先発し前線からの守備での貢献が光りながら、攻撃面で結果が出ていなかった前田に得点が生まれたのは日本にとってこの上ない形だった。

■ペリシッチが頭で同点

 だが、後半10分、クロアチアも左FWペリシッチ(33)がヘディングで決めて1-1の同点とする。右クロスに頭で合わせた得点は見事だったが、“事故のような”得点でもあった。それでもクロアチアが落ち着きを取り戻すには十分だったのだろう。

 延長を含めた120分を終えて日本が12本のシュートを放ったのに対し、クロアチアは17本。枠内シュートは各4本だったことを考えれば、どちらに勝利が転んでもおかしくはなかった。

「PK戦は運」とも言われる。運の要素があるのは否定しない。だが、心理面が左右する部分も大きい。試合終盤の展開は、より疲労の色が濃く「PK戦もやむなし」と割り切った戦いをしていたクロアチアに対し、日本はリスクを避けるようにクロアチアに付き合ってしまったようだった。

 クロアチアは4人蹴って3人が成功。日本は1人目のMF南野拓実(27)、2人目のMF三笘薫(25)がGKに止められ、3人目のFW浅野拓磨(28)が成功したものの、4人目の吉田がGKのセーブに遭った。クロアチアの選手が自信を持ってゴールに強く蹴り込んだのに対し、日本の選手はどこか“置きにいった”ように見えた。

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