攻撃の司令塔として存在感を増しているMF鎌田大地
攻撃の司令塔として存在感を増しているMF鎌田大地

 日本サッカー協会はカタール・ワールドカップ(W杯)のメンバーを発表した。26選手を見ると、全体として継続性を重んじる森保一監督らしい選考となった。AERA2022年11月14日号の記事を紹介する。

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 11月20日開幕のサッカーW杯。1日の日本代表の発表でまさかの落選となったのは、1トップで選出が有力視されていた大迫勇也(32)や、中盤を支えてきたベテランの原口元気(31)だ。

 特に大迫は2014年ブラジル、18年ロシアと過去2大会で1トップを務め、森保ジャパンでは最多タイの17点をマークしてきたエースだけに落選は驚きと報じられている。実際、大迫がケガの影響でチームを離れた今年2月以降、前線でボールを収めることのできるポストタイプのFW不在が嘆かれてきた。そんななか、大迫は所属の神戸で、発表直前のJリーグ5試合で3ゴールを挙げるなど調子を上げているように見えた。

 だが、森保監督はW杯を戦うには厳しいと判断したのだろう。

 その1トップ候補には浅野拓磨(27)、前田大然(25)、上田綺世(24)のいずれもW杯未経験の3人が選ばれた。

「経験は大事だが、経験のない選手たちのW杯で成功したいという野心を持って戦ってくれるエネルギーに期待した」

 森保監督は経験より若さを選んだ理由をそう説明した。そこには指揮官の狙いも見える。

 4チームのうち上位2チームが決勝トーナメントに進む1次リーグのE組で、初戦のドイツ(23日)、第3戦のスペイン(12月1日)はともに優勝経験のある強豪国だ(第2戦はコスタリカで27日)。アジア予選と比較すれば、当然、相手にボールを保持される時間は長くなる。日本の攻撃がカウンター中心になることを想定すれば、前線で“溜(た)め”を作れる大迫より、スピードのある前田や浅野のほうが生きると考えたのだろう。上田は2人とタイプは違うが、独力でゴールを生み出せる一発を持っている。

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