鈴木拡樹(すずき・ひろき)/1985年生まれ、大阪府出身。俳優。主演映画「死神遣いの事件帖─月花奇譚─」が11月18日から公開される(撮影/蜷川実花、hair & make up AKI、styling 中村美保、costume &ellecy、giraffe prop styling 遠藤歩)
鈴木拡樹(すずき・ひろき)/1985年生まれ、大阪府出身。俳優。主演映画「死神遣いの事件帖─月花奇譚─」が11月18日から公開される(撮影/蜷川実花、hair & make up AKI、styling 中村美保、costume &ellecy、giraffe prop styling 遠藤歩)

 ファンタジー時代劇“しにつか”シリーズの最新作、映画「死神遣いの事件帖─月花奇譚─」が、11月18日から公開される。主演を務める鈴木拡樹に、数々の2.5次元作品を演じてきた彼ならではの演じる喜びと困難を聞いた。AERA 2022年10月24日号から。

【写真】蜷川実花が撮った!AERAの表紙を飾った鈴木拡樹さんはこちら

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——11月公開の映画「死神遣いの事件帖─月花奇譚─」で演じるのは、探偵でありながら死神遣いの能力を持つ久坂幻士郎だ。今作では、死神の十蘭(安井謙太郎)と再びコンビを組み、江戸の町を蝕む怪異の謎に迫る。

鈴木:推理や特撮、アクションなど、見どころは色々あるのですが、僕としてはやっぱり“バディもの”というところを、結構意識しています。安井君演じる十蘭とコンビを組むのは、1作目の映画に続いて2度目ですが、今作では2人のバックボーンにも踏み込んでいます。十蘭とは付かず離れずのいい距離感。たまに喧嘩(けんか)もするけど、お互いに支え合いながら成長していく。バディものの王道ですけど、協力して敵に立ち向かうシーンは、演じていて思わず熱くなりました。

■画面の中にすべてある

——このシリーズは、映画と舞台をメディアミックスして展開する「東映ムビ×ステシリーズ」の第2弾として立ち上げられた。同じ役柄でも、舞台と映画では演じ方も変わるのか。

鈴木:映像のよさは、映っている画面の中にすべてがあることだと思うんです。例えば映画の中には、「幻蘭堂」という幻士郎の家が出てきます。それを見れば、登場人物たちが普段どんな生活をしているのか、どんな道具を愛用しているのかといったことが一目でわかる。

 一方で舞台の場合は、限られた空間、背景、道具の中で作品世界を構築していかなければなりません。例えば、「巨大な建物を見上げる」というシーンを表現するときに、映画ならわけもありませんが、舞台で実際に建物を建てるわけにはいかないですよね。だから天を仰いだり、体をのけぞらせたりして、お客さんに「何てでかいんだ!」と思わせなくてはならない。逆に言うと、何もないからこそ何でも出せるのが、舞台のよいところなのかな。演者とお客さんが一緒になって想像を巡らせて、ない物を具現化していけるところが魅力だと思いますね。

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