東ちづるさん(中央)と、かるがもCPキッズピアサポーターのスミスさん(左)と私(江利川)。「世界脳性まひの日」に向けて作った緑色のTシャツ は中央に「KNOW(知る)」と「脳」をかけた脳のイラストが描かれている(江利川ちひろ提供)
東ちづるさん(中央)と、かるがもCPキッズピアサポーターのスミスさん(左)と私(江利川)。「世界脳性まひの日」に向けて作った緑色のTシャツ は中央に「KNOW(知る)」と「脳」をかけた脳のイラストが描かれている(江利川ちひろ提供)

「インクルーシブ」「インクルージョン」という言葉を知っていますか? 障害や多様性を排除するのではなく、「共生していく」という意味です。自身も障害のある子どもを持ち、滞在先のハワイでインクルーシブ教育に出合った江利川ちひろさんが、インクルーシブ教育の大切さや日本での課題を伝えます。

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 10月6日は「世界脳性まひの日」です。

 各国ではさまざまなイベントが開催されているようですが、日本ではほとんど知られていません。恥ずかしながら、脳性まひのお子さんとご家族を支援するNPOを運営している私も、最近まで全く知りませんでした。

シンボルカラーはグリーン

 この取り組みを大々的に広めようとイベントを企画したのが、俳優の東ちづるさんが理事長をされている一般社団法人Get in touchです。

「世界脳性まひの日」のシンボルカラーがグリーンであることから、10月6日を「もうひとつのみどりの日」とし、「Warm Green Day」と名付けてワークショップを開催するそうです。私が運営するNPO法人かるがもCPキッズの会員の方からのご紹介で東さんとつながり、微力ながら私たちも参加させていただくことになったため、9月初めに東さんにお会いしました。

 今回は、通常のコラムとは少し形を変えて、このイベントのことを書いてみようと思います。東さんと、かるがもCPキッズピアサポーターのスミスさんと私の鼎談(ていだん)の様子も、合わせてご紹介します。

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居心地良い「まぜこぜの社会」を

江利川 どうしてWarm Green Dayを開催しようと考えられたのですか?

東 もともとは30年前からいろいろな分野の活動をしていました。私は群れることや組織が少し苦手だったので、ひとりで。

江利川 え? ひとりでですか? ちょっと意外です。

東 でも、2011年の3.11の時に「そうは言ってられない」と思ったんですよね。被災地の避難所で、マイノリティーの人たちが追い詰められている現状を知ったのです。

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江利川ちひろ

江利川ちひろ

江利川ちひろ(えりかわ・ちひろ)/1975年生まれ。NPO法人かるがもCPキッズ(脳性まひの子どもとパパママの会)代表理事、ソーシャルワーカー。双子の姉妹と年子の弟の母。長女は重症心身障害児、長男は軽度肢体不自由児。2011年、長男を米国ハワイ州のプリスクールへ入園させたことがきっかけでインクルーシブ教育と家族支援の重要性を知り、大学でソーシャルワーク(社会福祉学)を学ぶ。

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