オホーツク海沿いを走る、釧網線の「流氷物語号」。厳しい冬にも観光客は訪れる
オホーツク海沿いを走る、釧網線の「流氷物語号」。厳しい冬にも観光客は訪れる

 鉄道に魅せられるきっかけは、人それぞれだ。中にはギャンブルをやめるために鉄道ファンになった人もいる。俳優・六角精児さんだ。AERA 2022年8月8日号で、思いを語ってくれた。

【六角精児さんの写真はこちら】

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 鉄道にはまったのは30代になってからです。子どものころから電車は好きだったし、旅公演の際の列車移動も楽しかったけれど、いわゆる「テツ」ではなかったんです。若いころの僕はギャンブルにはまっていて、負けが込んで身を滅ぼしつつありました。これじゃまずい、ギャンブルはやめようと考えたとき、鉄道に乗っている時間が自分にとっては心地よいなと改めて気が付いた。それで「意識して」鉄道ファンになりました。

 テツにもいろいろいるけれど、僕が好きなのは「車窓」。鉄道の車窓は特別です。車とは違って勝手にどこかへ連れていってくれる。それに、切り開かれた鉄路は鉄道でしか通れない、つまり鉄道でしか見られない景色がたくさんあります。レールの上を揺られながら見る車窓の臨場感が自分にとてもマッチしているんだと思います。

 鉄道で旅をする時は、一緒にお酒も飲みたい。もちろん混み具合や人の目でそうできないこともあるけれど、あまりお客さんの多くないローカル線のボックス席に座って、ちびちびと飲みながら景色を楽しむ旅が至福の時間です。心が色づいて、景色もより色づいて見えてくる。

 僕は乗ったことのない路線にどんどん乗ってみたいタイプですが、繰り返し何度も乗っている路線もあります。北海道の路線は何度も乗ってますね。釧路と網走を結ぶ釧網線なんて、何度乗ったかなあ。日本には季節があって四季折々違った車窓を楽しめるから、同じ路線に何度乗っても楽しいですね。

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