AERA 2022年7月11日号より
AERA 2022年7月11日号より

 高金利預金を選ぶとき、できれば「夏の……」など、期間限定キャンペーンではないほうが得でラクだ。常に高い金利を提示している銀行を選んでおけば、季節モノのキャンペーンが終わるたびに他の高金利を探して預け替える手間もなくなる。

0.27%のオリックス

 普段から高金利の定期預金を提供しているのはどこなのか。ベスト7をピックアップした。目をひくのは、5年満期で0.27%を提示するオリックス銀行の「eダイレクト定期預金」。6カ月ごとに利息を元金に加えて運用してくれる「半年複利」方式だ。この定期預金は01年から取り扱っているが、広告宣伝もほとんどせず、現在の口座数は約30万。知る人ぞ知る存在である。

 オリックス銀行が国内総合リース最大手のオリックスグループであることは察しがつくが、ここまで高い金利を掲げられるのはなぜなのか。オリックス銀行の鈴木祥之さんに聞いた。

「当行は銀座に1店舗を配するのみで、ATMも所有しておらず、インターネット取引が中心です。預金口座には自動引き落としなどの決済機能がないためシステム運営費用もかかりません。当行の経費率は42.3%(2022年3月期)と、他行と比べてコスト負担が低い分、収益性が高くなっています」

 日本金融通信社の「ニッキンレポート」によると、全国の銀行109行の平均経費率は64.1%(22年3月期)。オリックス銀行は2割以上も低い。

 経費率が低いこと以外に、何か理由がある? 

「当行では住宅ローンを取り扱っておらず、貸し出しの大半を占めているのは投資用不動産ローンです。賃貸に回すマンションやアパートを建てる人に貸すので、審査なども非常に専門的で参入障壁も高い。相対的に高い貸し出し利回りを得られます。その一部をeダイレクト定期預金の金利に乗せている形」

 個人の住宅ローンで審査するのは借り手の信用力(勤務先や所得水準など)で、貸し出し事業としての難易度はさほど高くない。これに対し、賃貸物件の収益性や事業計画を吟味しつつ融資の判断を行う投資用不動産ローンには、相応の知見や専門のノウハウが求められる。

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