部屋干しがすぐに乾くのはいいけれど(イラスト/サヲリブラウン)
部屋干しがすぐに乾くのはいいけれど(イラスト/サヲリブラウン)

 作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍するジェーン・スーさんによるAERA連載「ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして」をお届けします。

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 ソファでうたた寝していたら、脱水中の洗濯機がものすごい音を立て目が覚めました。頼む、壊れないで!

 私は洗濯乾燥機備え付けのマンションに住んでいます。ひとり暮らしにはちょうど良い大きさながら、故障が少なくないという評判がもっぱらの海外メーカーのものです。

 住み始めてもうすぐ2年。なんと更新のお知らせがきたと同時に乾燥機能が壊れました。何度やっても脱水手前のビシャビシャな状態で止まってしまうから困った。

 乾燥機能は壊れたものの、洗濯と脱水までは普通にいける。我がマンションは気取ったところがあり、外干しができる場所がないので部屋干し一択しかありません。

 さて、いままでは乾燥機を使っていた大物を部屋干しするようになってから、気付いたことがあります。この部屋、乾燥がひどい! 朝起きると喉が痛いことが何度もあり、病気ではないかと不安に思っていましたが、部屋が極端に乾燥しているだけでした。おかげで洗濯物はアッと言う間に乾きます。怪我の功名と言えましょう。

 問題は洗濯機です。乾燥機だけならまだしも、それ以外まで壊れてしまっては生活に支障がでます。更新のタイミングとはいえ、これだけで引っ越すのも馬鹿らしい。

イラスト/サヲリブラウン
イラスト/サヲリブラウン

 気取った我がマンションにはコンシェルジュがおります。しかし、笑ってしまうほどになにもできない。単に玄関の自動ドアを開けるボタンを押すだけの人という感じ。能力の問題ではなく、ディベロッパーから権限が譲渡されていないからです。洗濯乾燥機の件を相談したら、「ここに電話してください」と、マンションヘルプセンター的な機関の電話番号を渡されました。電話をしたところで、「メーカーに直接問い合わせて」と言われそうな予感がビンビンします。

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ジェーン・スー

ジェーン・スー

(コラムニスト・ラジオパーソナリティ) 1973年東京生まれの日本人。 2021年に『生きるとか死ぬとか父親とか』が、テレビ東京系列で連続ドラマ化され話題に(主演:吉田羊・國村隼/脚本:井土紀州)。 2023年8月現在、毎日新聞やAERA、婦人公論などで数多くの連載を持つ。

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