国内で始まる4回目の接種の対象は、60歳以上の人と、18歳以上で基礎疾患のある人などだ
国内で始まる4回目の接種の対象は、60歳以上の人と、18歳以上で基礎疾患のある人などだ

 5月下旬から、新型コロナウイルスワクチンの4回目接種が始まる。今回の接種対象は限定的だが、秋にはより幅広い人を対象にした接種が再び始まる可能性がある。AERA 2022年5月30日号から。 

【4回目接種の効果の推移はこちら】

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 新型コロナウイルスワクチンの4回目接種が、5月下旬から各地で始まる。4回目が必要と判断されたのは、3回目の追加接種から時間が経つと、感染した時に症状が出るのを防ぐ発症予防効果が下がってくるからだ。

 英国健康安全保障庁(HSA)によると、検査で感染が判明した人のワクチン接種状況などを基に分析したオミクロン株に対する実世界でのワクチンの発症予防効果は、最初の2回の接種がファイザー社製ワクチンだった場合、3回目接種の直後は6割以上に上がった。しかし、20週間以上経つと、発症予防効果はほとんどなくなった。

 英国では3回目接種にはファイザー社製かモデルナ社製のワクチンを使っている。モデルナ社製の方がやや発症予防効果は高い傾向にあるが、大差はない。

 最初の2回がモデルナ社製だった場合は、3回目接種後19週間目までのデータしかないが、やはり時間と共に効果が下がった。

 ただし、重症化を防ぐ効果は、3回目接種から時間が経ってもそれほど大きくは下がらない。英HSAによると、急性呼吸器疾患の症状が出て2日以上入院するのを防ぐ効果は、65歳以上の場合、接種から15週間以上経っても約85%あった。

 一方、18~64歳の人では、3回目接種直後は約91%あった効果が、15週間以上経つと約67%に落ちた。もともと重症化するリスクが低い世代なので、実際よりも効果が低く出ている可能性があるという。

■接種対象は限定的

 英HSAによると、50歳以上の人の死亡を防ぐ効果は、2回目接種から25週間以上経つと約48%に落ちたが、3回目接種で90%以上に上がり、10週間以上経っても、その効果は約88%あった。

 こういった現状を考慮し、イスラエルや欧米などは、高齢者など重症化リスクの高い人を対象に4回目の接種を始めた。

 日本政府も海外の動向を踏まえ、4回目の接種の開始を決めた。接種対象は3回目接種までに比べて限定的で、3回目から5カ月以上経った、重症化リスクの高い人だ。

 具体的には、60歳以上の人全員と、18歳以上で肺や心臓、腎臓、肝臓などに慢性の病気を持つ基礎疾患のある人、免疫抑制剤を飲んでいたり抗がん剤治療をしていたりして免疫が抑制された状態にある人、BMI30以上の肥満の人などが対象だ。

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