野球に取り組むストイックな姿勢は、広島の若手の見本となってきた(photo:Chicago Tribune/Tribune News Service via Getty Images)
野球に取り組むストイックな姿勢は、広島の若手の見本となってきた(photo:Chicago Tribune/Tribune News Service via Getty Images)

 広島の鈴木誠也が大リーグのカブスに移籍した。野球に取り組むストイックな姿勢は、広島の若手の見本となってきた。入団会見では報道陣の爆笑を誘うなど、明るい性格で早くもチームに溶け込んでいるという。AERA 2022年4月4日号の記事を紹介する

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 異国の地では野球以外の時間をどう過ごすのかも重要になる。心強い存在が19年8月に結婚した妻の畠山愛理さんだ。新体操フェアリー・ジャパンのメンバーとして12年ロンドン、16年リオデジャネイロ両五輪に出場。引退後はスポーツキャスターやモデルなどで活躍し、結婚後に広島に移住した。

 今回の移籍にあたって獲得に名乗りを上げた各球団とのオンライン交渉には、鈴木と共に愛理さんも参加していたという。

 鈴木は野球に対して誰よりもストイックなことで知られる。試合後も打撃練習に打ち込み、遠征先の駐車場でも一心不乱にバットを振る。試合で凡打すると悔しさを前面に出すのは1打席、1球に対する執着の強さの表れだ。

「広島は猛練習の伝統がありますが、鈴木は体が強いので耐えられた。4番を打っていた先輩の新井貴浩の存在も大きいと思います。主力が誰よりも練習している姿を見て大きな刺激を受けたでしょう。現在は坂倉将吾(23)、小園海斗(21)、林晃汰(21)、宇草孔基(24)ら若手たちが鈴木を見習ってバットを振り込んでいる。広島から旅立つのは寂しい気持ちもありますが、大リーグでも必ず活躍してくれるでしょう」(広島のテレビ関係者)

 ファンが心待ちにしているのは鈴木と同じ「94年世代」のエンゼルス・大谷翔平(27)との対戦だ。

 大谷は昨季、満票でアメリカン・リーグ最優秀選手(MVP)を獲得。打撃面では155試合出場、打率2割5分7厘、46本塁打、100打点、26盗塁。投げても23試合登板で9勝2敗、防御率3.18、156奪三振の活躍で、投打5部門(投球回、奪三振、安打、得点、打点)で100を記録する「クインティプル100」を史上初めて達成。大リーグ史上6人目の「45本塁打&25盗塁」に到達した。

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