ロシアへの経済制裁は原油などの高騰を招き、インフレがいっそうに顕著になる恐れもある。株価への影響も続きそうだ(写真:gettyimages)
ロシアへの経済制裁は原油などの高騰を招き、インフレがいっそうに顕著になる恐れもある。株価への影響も続きそうだ(写真:gettyimages)

 世界の株式市場が揺れている。年初からの下落傾向にロシアのウクライナ侵攻が重なり、主要国の株価が大幅安を記録している。コロナ禍で投資を始めた人は、どう対応すればよいのだろうか。AERA 2022年3月28日号から。

【図】リーマン・ショック前から毎月1万円を投資していたら?

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 今年に入ってから、世界的に株式市場の景色が一変している。無論、目先で大きな波乱要因となっているのは、ロシアによるウクライナ侵攻だ。そのニュースが報じられた2月24日、日経平均は急落して年初来安値を記録。米国市場でも代表的な株価指数であるS&P500が1月下旬の安値を大きく下回り、やはり年初来安値をつけた。

 その後もウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所にロシアが砲撃を仕掛けるなどのショックが走る度に、株式市場も大きく反応。ロシアからの供給が途絶えることを懸念して原油価格も高騰し、景気の先行きへの警戒感が強まったことから、日経平均はさらに年初来安値を更新する事態にもなった。

 もっとも、冒頭で触れたように、ウクライナ情勢が緊迫化する以前から株式市場は下落圧力にさらされてきたのも確か。米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)が金融政策を大きく転換し、利上げ(金利の引き上げ)に踏み切る公算が大きくなったからだ。

辛抱して継続してみる

 その背景には、世界的に新型コロナウイルスのワクチン接種が進んで経済活動が再開される一方で、インフレ(物価の上昇)傾向が顕著になったことがある。こうした情勢を踏まえ、インフレの抑制効果がある利上げが現実味を帯びてきた。

 しかし利上げは“両刃の剣”。性急に進めると景気回復にブレーキをかける恐れもある。年内にかなりのピッチで追加利上げが実施されるとの観測も浮上し、株式市場では悲観ムードが大勢を占めるようになった。

 こうした状況を目の当たりにして、コロナ禍で投資信託(以下、投信)への積立投資を始めた人たちはため息をついているだろう。特に、S&P500をはじめとする米国株式市場に連動する投信を選んだ人は、ショックを受けているかもしれない。

 2020~21年にかけて目覚ましい上昇を遂げてきただけに、初めての逆境を経験しているからだ。解約や積み立ての中断を検討する人もいるだろうが、ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏はこう訴える。

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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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