夫が買い込んだ日用品。これで「一部」だというから驚きです
夫が買い込んだ日用品。これで「一部」だというから驚きです

 まず、夫の許可を得て、ドラッグストア部屋にある箱の中身を全部確認することにしました。出てきたマスクは、なんと約1400枚。

「家族のためを思って買ってきた彼の成果だから感謝です。だけど、大人2人で毎日使っても2年近く使える。その事実を伝えたら『使っていかないとなぁ』と気づいてくれたみたいです」

 彼女は事実を可視化すること、物を仕分けることが自分のできることだと考え、透明の袋に在庫を入れて量や種類がわかる状態をゴールとしました。もちろん夫に相談して許可を得たうえで、です。フリーズしてしまいそうな時は、子どもを巻き込みました。

「同じものを並べてみてね」
「はいっ!わかりましたー!つぎはー?」
「次は、同じ子をこの袋にお願いしまーす」
「わかりましたー!つぎはー?」

 という具合。2歳の子どもも仕分けに参加して、時間はかかったけれど、集中できたそうです。

「売りたくなったときに必要だ」という商品の箱は、たたむか大きい箱に小さい箱を入れて量を減らすことにしました。箱一個捨てるのに許可がいるなんてと思いつつ、勝手に捨てられるんじゃないかと不安そうな夫に「人の物は絶対に勝手に捨てないよ」とフォローを入れながら。

 プロジェクトが終わる1週間前には、夫に少し変化が見られました。自分がため込んだ不用品が可視化されたからなのか、自らリサイクルショップに出向き、着ないスーツもまとめて処分。以前はあきらめていたコミュニケーションの成果かもしれません。

 仕事場にもなるダイニングは明るく変身。物置部屋も在庫が確認しやすい状態になり、彼女の45日間のプロジェクトは完了しました。

ダイニングから見えるリビングも一変。ソファもすっきりしました/Before/After
ダイニングから見えるリビングも一変。ソファもすっきりしました/Before/After

「今はテレワークでも集中できて本当に幸せです。ダイニングから見える景色が変わりました。家をまるごと片づける方法がわかった安心感もあります」

 共同生活の中で物の整理に迷うこと、ありますよね。そんな時は、まず自分の物、自分の問題、自分ができる範囲と思って片づけ始めてみてください。物を分ける、片づけのテリトリーを分けるだけでもいいのです。問題を人の分まで抱え込みすぎない。毎日の「10分アクション」で、状況はきっと変わっていきます。

◯西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・夫婦間のコミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト®」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。ラジオ大阪「西崎彩智の家庭力アッププロジェクト」(第1・3土曜日夕方)が2021年5月1日からスタート。フジテレビ「ノンストップ」などのメディアにも出演

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西崎彩智

西崎彩智

西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト?」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等で講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。

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