コロナ禍の収束の大きなカギとなるワクチン接種。政府は若者世代のワクチン接種を呼び掛けているが、地域によっては「打ちたくても打てない」事態になっている。AERA 2021年8月30日号から。
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政府が公表したワクチン接種状況によれば、19日時点で全国民の51.3%が1回目を、39.7%が2回目の接種を終えている。だが、都道府県別のダッシュボードでは、山口県の53.63%が1回目を終えているのに対し、沖縄県は37.81%と大きな隔たりがある。
アエラでは、都内23区で若者のワクチン接種がどう進んでいるのかを調査した。世代別の人口差もあり、かつ日に日に数字は動いていく。
政府は8月下旬には国民の6割を超える人が1回目の接種を終えるとしているが、8月中旬時点で、都内の大半の区で20代に関してはまだこれから、といった状況が見て取れる。
20代や30代の若者へ優先接種するとしていた新宿区ですら、20代で1回目の接種を終えた人は21.6%(全年代は42.7%)に過ぎない。
「接種体制は整っていますが、国からのワクチンの供給が追いついていません」
そう打ち明けるのは、新宿区の担当者だ。同区はファイザーを中心に接種予定を組み立てていたが、肝心のファイザー社製ワクチンの供給が停止してしまった。そこでモデルナの供給を申し込んだが、受けられなかったという。担当者は言う。
「今は接種の新規予約を停止しています。国からは早めに供給時期の見通しをいただきたい」
予約受け付けを一時停止している自治体は、「ワクチン不足」と口をそろえる。供給時期がわからないなかで、接種間隔に応じた会場や人手の確保に苦慮する様子もうかがえる。
だが、一部にはこんな状況もある。
■かかりつけ医はいない
「予約枠、ガラガラですよ」
東京都港区に住む20代の女性はあっけらかんと話す。港区では、全年代の60.7%、20代の44.1%が1回目の接種を終えた。ワクチンはモデルナとファイザーの2種類で、21日時点で予約枠にもゆとりがあり、区の保健所はSNSなどでも接種を呼びかけている。女性は言う。