「みよたんクエスト」は町のご当地キャラクターである妖精「みよたん」が、寄付の増加とともに 0歳児からだんだん大人になり、30段階目では戦士に成長する。その一方で、小中学校の給食費無償化(6000万円)や、老いた桜の木をオカリナに再生して小学6年生に贈る事業(50万円)、 空家改修補助金(120万円)など、全国の納税者の支援でどのような政策課題が実現したかが、すぐに見えるようになっている。小園町長も「おさ」として登場する。8月上旬からは今年用の新バージョン「みよたんクエスト2」に変更されている。

 総合ディレクターを務めた小島美里さん(32) は「みよたんが成長していく過程がめっちゃ面白いとの評判が広がって。先日は友人が、電話を切ったらすぐにふるさと納税するよ、と」。制作チームの男性(32)は、「自分の税金がどう使われるかが詳細に一目でわかるというシステムは全国初だと思う」。

■浅間山の眺望に都心部への近さ

 小島さんも東京都港区からの移住組だ。御代田を選んだ理由は「ちょうど良さ」 軽井沢より土地が安く、浅間山も近くに見え 東京から新幹線で1時間余り。歴史ある小諸の町や大きなショッピングモールがある佐久市など生活圏の真ん中に位置する。

「(移住で)自分の想いやミッションを掲げて仕事できるようになりました」

 そう話す小島さんは現在、近くの町に住む移住仲間の女性と「team OHAYASHI」を設立。「ローカルなまちの広告やさん」を謳うこのプロジェクトは今年、佐久市を拠点に「ママ&プレママのためのじぶんはたらき方講座」を開設、はたらき方の支援をしている。

 一方で、小園町長は「みよたんクエスト」の成功をテコに「寄付文化」を拡大しようとこの春, 周辺の小諸市、佐久市、立科町の3市町と連携して「ふるさと未来設計室」を立ち上げた。御代田町の事務局で企画や制作の支援をする一人が、東京の広告会社に勤める大月均さん(38)だ。大月さんは、当初は東京と御代田町の2地域居住だったが、次男が生まれ、コロナ禍が拡大して完全リモートワークになったのを機に、移住した。

次のページ
返礼品依存を薄める努力