どちらのワクチンも、痛みの程度はさまざまだ。触らなければ痛くないといった程度から、打った側の腕が痛くて上がらないほど強い場合まである。外科医に、接種日は、翌日に手術が予定されていない日を選ぶよう指示している病院もある。腕を使う仕事をしている人は、仕事の予定を考慮して接種日を決めた方がいいかもしれない。

 米疾病対策センター(CDC)は、清潔な冷たい濡れタオルで痛い部分を冷やしたり、痛い側の腕を動かしたり、エクササイズをしたりすることで、痛みが和らぐことがあるとしている。

 米コロラド州にあるメトロポリタンデンバー州立大学は、体操専門の教授による、ワクチン接種後の腕の痛みを和らげるためのエクササイズを動画で紹介している。

 また、厚労省は、痛みがひどい場合、市販の解熱鎮痛剤を飲むのも一つの選択肢だとしている。現在、妊婦や子どもも飲めるアセトアミノフェンという成分の含まれる解熱鎮痛剤が一部の地域のドラッグストアで品薄になっているが、それ以外に、イブプロフェンやロキソプロフェンといった成分が含まれる非ステロイド性抗炎症薬も、解熱鎮痛薬として使えるとしている。

 ただし、次のような人は、飲める薬の種類が限られることがあるので、まずかかりつけの医師や薬剤師に相談するよう、厚労省は呼びかけている。

 ▽他の薬を飲んでいる▽妊娠中や授乳中▽高齢▽胃潰瘍や十二指腸潰瘍、腎機能低下といった病気で治療中▽薬でアレルギーや喘息を起こしたことがある。

■モデルナ・アーム対処は

 また、接種部位の痛みや腫れ、発熱といった典型的なワクチンの副反応とは異なる症状が出ている場合は、解熱鎮痛剤で対処するのではなく、医療機関を受診した方がいい場合もあるので、やはり医師や薬剤師に相談するよう求めている。

 ところで、厚労省研究班は、発生頻度は低いものの、接種後1週間以上も経ってから起こる接種部位の副反応についても報告している。モデルナのワクチンの1回目接種の9日後に3.46%、10日後に4.01%の人の接種部位が赤くなった。

 こうした接種から1週間以上経ってから接種部位に起こる副反応は、モデルナのワクチン接種後に起こることが多いので、日本では「モデルナ・アーム」と呼ばれる。が、同様にmRNAを使っているファイザーのワクチンでも頻度は低いが起こることがあり、米CDCなどは「COVIDアーム」と呼んでいる。

 モデルナの約3万人を対象にした臨床試験(治験)では、1回目接種の8日目以降にCOVIDアームが発生した人は0.8%、2回目接種では0.2%いた。

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