米マサチューセッツ総合病院の医師らが米医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に公表した報告では、赤く腫れても痛みよりかゆみを感じる人が多かった。厚労省研究班の調査でもその傾向がみられる。

 この報告によると、体験者12人の症状は2~11日で消えた。症状の起きた部位の皮膚を採って分析した結果、比較的時間が経ってから活性化する免疫細胞があり、COVIDアームは遅れて起きる過敏な免疫反応だと考えられるという。

 米CDCは、COVIDアームが起きても、2回目の接種を受けるよう勧めている。かゆみが気になるなら抗ヒスタミン剤、痛みがひどいなら、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬のような解熱鎮痛剤を服用してもいいとしている。ただし、痛みの場合と同様、他の薬を飲んでいる人など薬の選択に注意が必要な人は医師や薬剤師に相談した方が安全だ。

■若年と女性に出やすい

全身的な副反応で発生頻度が高いのは倦怠感や発熱だ。とくに2回目の接種後に多い。1回目の接種で新型コロナウイルスに対する免疫がある程度できたため、再度打った時にはより強い免疫反応が起きるからだ。

 厚労省研究班によると、ファイザー社製ワクチンの2回目接種後には、全体で7割近い人が倦怠感を感じ、4割近い人が37.5度以上の発熱を経験した。倦怠感や発熱は若いほど起こる頻度が高く、同じ年代では女性の方が起きやすい傾向がある。高齢者よりも若い方が、また男性よりも女性の方が、免疫反応が強いからだ。このため、20代女性の8割近くが倦怠感を感じ、5割以上が発熱した。

 発熱への対処法としては、接種部位の痛みと同様、市販の解熱鎮痛剤が選択肢の一つだ。注意が必要な場合も同様だ。また、米CDCは、発熱した場合、十分な水分補給をするようアドバイスしている。

 解熱鎮痛剤を飲んでも平熱に下がらないことがある。また、倦怠感への一番の対処法は休息だ。2回目接種の翌日は、万が一の場合に十分に休息が取れるよう、仕事の予定はなるべく入れない方がいいだろう。企業によっては、「ワクチン休暇」制度を作り、副反応が出た場合には休めるようにしたところもある。

 副反応の中には、まれに医療機関の受診が必要なものもある。医療機関の受診などについて悩む場合、都道府県に設置されている「新型コロナワクチン相談コールセンター」で、看護師や薬剤師が医学的な立場から相談に乗ってくれる。(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

AERA 2021年7月26日号