ダンボールコンポストに生ゴミを投入。これが微生物の力で分解され、畑で利用できる堆肥となる(写真:しらくらさん提供)
ダンボールコンポストに生ゴミを投入。これが微生物の力で分解され、畑で利用できる堆肥となる(写真:しらくらさん提供)
AERA 2021年6月28日号より
AERA 2021年6月28日号より

 環境に優しい生活をしたい。そんな人からいま、注目を集めているのが、生ゴミを堆肥に循環させるコンポストだ。都会でも簡単に取り組める新たな方法が出てきている。AERA 2021年6月28日号で取材した。

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「軽っ」

 燃えるゴミの日、ゴミ袋を手にした瞬間、驚きが声に出たというのはオイシックス・ラ・大地に勤務する和知麻子さん。燃えるゴミが軽くなったのは、生ゴミがなくなったから。生ゴミの正体はほぼ水分なのだ。

 和知さん宅から生ゴミが消えたのは、コンポストを始めたから。コンポストは、生ゴミなどを微生物の力で分解・発酵させて堆肥化すること、またそうして作られた堆肥のことを指す。

 和知さんの実家でも、母親がコンポストに取り組んでいたという。裏の畑の隅には、コンポスト用の大きな容器が設置されていた。臭いし虫もいる。なんとなく避けていたエリアだった。

 食にかかわる仕事に就いてフードロスや環境問題に関心が向き、コンポストの重要性も理解したが、住まいは都内のマンション。虫やにおいの出るコンポストは難しいとあきらめてきた。

 ところがLFCコンポストと出合ってそれらの問題が解決されたと知った。LFCコンポストとは、ローカルフードサイクリング社が昨年1月から発売しているトートバッグ型の商品だ。独自の配合基材で、堆肥化までの分解を速め悪臭を抑えている。ベランダにおいても見映えがいいデザインや、LINEですぐに疑問に答えてくれるサポート体制なども好評で、発売から1年半で2万人が購入しているという。その8、9割がコンポスト初心者だ。

 和知さんもその一人。臭くないし虫もつかないなら、と早速導入した。

 生ゴミ用のボウルにためておき、夕食後の洗い物が終わったときに、排水口のゴミと一緒にその日の生ゴミをベランダのバッグに投入する。

■ブラックホールみたい

「在宅勤務だと3食自宅で調理するので、生ゴミも増えたし生ゴミと一緒にいる時間も増えましたが、捨てる場所が変わっただけでスッキリしました」

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