イラスト:佐藤ワカナ
イラスト:佐藤ワカナ

 ランドセルにまつわる違和感の数々を4月にAERA本誌が報じたところ、大反響があった。小学生時代、多くの人が背負って通ったことのあるランドセル。なぜ議論が沸騰するのか。AERA 2021年6月28日号で取り上げた。

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 ランドセルはなぜこうも人の心をざわつかせるのか──。

 AERA本誌4月19日号は「ランドセルは社会の縮図」という記事を掲載し、ランドセルが、多様性の乏しさ、ジェンダーの押し付け、経済格差などを象徴する存在だということを論じた。特に、ランドセル購入活動「ラン活」について、5万円を超える高額なランドセルを、子どもが小学校に入る1年前に予約・購入する家庭が増えている現象を取り上げ、経済格差の象徴となっていることを指摘すると大反響があり、ウェブでは数百万のPVを記録した。読者からも、早期化・高額化するラン活への疑問の声は多数上がった。

 最大の要因はやはり、値段が高い商品が増えたことへの違和感だろう。2021年の平均購入価格は5万5339円(ランドセル工業会調べ)。10万円以上の商品も出回り、買える家庭と買えない家庭が生じている。経済格差を意識させられ、反発を感じる人が少なくないのだ。

 昨年、有名な工房のランドセルを8万円台で購入した神奈川県の30代女性はこう話す。

「我が家は祖父母からのお祝いもあったので負担にならなかったが、そうでない家庭にとって『ラン活』は迷惑かもしれない」

 実際のところ、比較的安価な商品も販売はされており、筆者の周囲にも「型落ちした商品を数千~2万円前後で購入した」という人は複数いた。だが、そういった話はなかなか表に出てこない。高いランドセルを買った人以外は、わざわざ人に話さないからだ。

■タブレットも加わった

 重さに不安を覚える人も多い。ランドセルは1キロを超える商品がほとんどだが、今の小学生はただでさえ荷物が多い。教材が大判化し、副教材も多数あることに加え、近年はGIGAスクール構想によりタブレットやパソコンまで加わっている。小学3年生の子どもがいる東京都の30代女性は先日、ランドセルの重さを量ったところ6キロ近かった。この日は、自宅で使わない教材を学校に置いて帰る“置き勉”をしていたのに、だ。女性はため息をつく。

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