木村花さんの悲劇で変わる「放送」と「通信」の線引き 「ネット配信だから」ではもう許されない (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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木村花さんの悲劇で変わる「放送」と「通信」の線引き 「ネット配信だから」ではもう許されない

水島宏明AERA#AERAオンライン限定
木村花さん=2019年11月撮影(c)朝日新聞社

木村花さん=2019年11月撮影(c)朝日新聞社

亡くなった木村花さんの写真がプリントされたTシャツを着て、判決後の会見に臨んだ母・響子さん=2021年5月19日(c)朝日新聞社

亡くなった木村花さんの写真がプリントされたTシャツを着て、判決後の会見に臨んだ母・響子さん=2021年5月19日(c)朝日新聞社

 フジテレビのリアリティー・ショー「テラスハウス」の出演者だったプロレスラーの木村花さん(当時22歳)がSNSで誹謗中傷を受け、自ら命を絶って1年が過ぎた。

【亡くなった花さんのプリントTシャツを着て会見に臨んだ母・響子さん】

 ニュースで母親の響子さんが、娘の死をきっかけに自分がプロレスラーだった頃の「闘う髪形」を再びするようになったエピソードを伝えていた。娘の無念を晴らそうと響子さんが孤軍奮闘した結果、世の中が少しだけ前に進んだ面がある。響子さんのファイトによって、花さんの死が私たちの社会にどんな教訓を残したのか考えてみたい。

■誹謗中傷した人物を特定しやすく

 花さんが命を絶った直接の引き金は、SNSによる誹謗中傷だった。ツイッターのダイレクト・メッセージなどで「きもい」「いなくなってほしい」「死ね!」などの言葉を大量に送りつけた人たちがいた。その人たちを特定するためにSNS事業者に投稿者情報の開示を要求してもすぐに応じてもらえない実態があった。

 まず、SNS業者に誹謗中傷の発信を行なった人物のインターネット上の住所であるIPアドレスを開示させるよう裁判所に申し立てる必要があった。IPアドレスが明らかになったら、次はIPアドレスを管理するプロバイダーに対して発信者の氏名や住所の開示を求めて裁判を起こす。つまり、投稿者の「特定」には、2度の訴訟が必要だった。

 響子さんはこのようなプロセスを経て、誹謗中傷を発信した人物を特定し損害賠償を求める民事訴訟を起こして勝訴した。

 こうした手続きは煩雑で費用や時間もかかることから、総務省も制度の改善に乗り出した。改正プロバイダー責任制限法が今年4月に成立。来年からは一度の裁判手続きで発信者の氏名や住所を特定できるようになり、簡素化と迅速化が進むという。

■刑事罰で厳罰化を求める動き

 ネット上で誹謗中傷した行為は、どこまで刑事上の罪に問われるのか。木村花さんへの誹謗中傷で刑事罰を受けた20代と30代の男2人の罪名は侮辱罪。略式起訴の末の刑罰は、科料9000円だった。

 花さんの死後もネット上で誹謗中傷する人たちの行為はなくならない。刑罰として軽すぎるせいではないのか。


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