15歳で仕種は「赤ちゃんのまま」でも感情表現豊か 重心児の長女が教えてくれた幸せの価値 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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15歳で仕種は「赤ちゃんのまま」でも感情表現豊か 重心児の長女が教えてくれた幸せの価値

連載「障害のある子と生きる家族が伝えたいこと」

江利川ちひろAERA#AERAオンライン限定
2015年のゆうちゃんとぴぴちゃん。「ふたりは、お互いとても安心できる存在のようです」(江利川さん)/江利川さん提供

2015年のゆうちゃんとぴぴちゃん。「ふたりは、お互いとても安心できる存在のようです」(江利川さん)/江利川さん提供

2013年、小学校1年生のゆうちゃん。海辺で「おかあさんといっしょ」の曲を聴きながら海風に当たり、眠くなってきているところ/江利川さん提供

2013年、小学校1年生のゆうちゃん。海辺で「おかあさんといっしょ」の曲を聴きながら海風に当たり、眠くなってきているところ/江利川さん提供

江利川ちひろ/1975年生まれ。NPO法人かるがもCPキッズ(脳性まひの子どもとパパママの会)代表理事、ソーシャルワーカー。双子の姉妹と年子の弟の母。長女は重症心身障害児、長男は軽度肢体不自由児。2011年、長男を米国ハワイ州のプリスクールへ入園させたことがきっかけでインクルーシブ教育と家族支援の重要性を知り、大学でソーシャルワーク(社会福祉学)を学ぶ

江利川ちひろ/1975年生まれ。NPO法人かるがもCPキッズ(脳性まひの子どもとパパママの会)代表理事、ソーシャルワーカー。双子の姉妹と年子の弟の母。長女は重症心身障害児、長男は軽度肢体不自由児。2011年、長男を米国ハワイ州のプリスクールへ入園させたことがきっかけでインクルーシブ教育と家族支援の重要性を知り、大学でソーシャルワーク(社会福祉学)を学ぶ

「インクルーシブ」「インクルージョン」という言葉を知っていますか? 障害や多様性を排除するのではなく、「共生していく」という意味です。自身も障害を持つ子どもを持ち、滞在先のハワイでインクルーシブ教育に出会った江利川ちひろさんが、インクルーシブ教育の大切さや日本での課題を伝えます。

■重心児の長女の日常

 我が家の長女は、重症心身障害児(重心児)と呼ばれる寝たきりの中学3年生です。

 呼吸をしたりペースト食の摂取は可能ですが、自分の力だけでは命を維持することが難しく、胃ろうから栄養を注入したり、夜間に人工呼吸器を使用するなど、苦しくなる部分を医療的ケアで補い生活しています。

 今回はそんな長女の話です。

「寝たきり」というと、文字通りずっとベッドにいる子どもを想像される方も多いと思いますが、平日はバギーのまま乗車できるスクールバスで特別支援学校へ登校し、彼女にとっての習い事であるデイサービスを経由して、夕方に帰宅します。

 長女は、会話をすることができません。

 発語は私を呼ぶ「まぁま」の一言だけであり、言葉の理解は、単語がいくつかわかる程度です。それでも、感じたままの喜怒哀楽をはっきりと出してくれるので、私たちはコミュニケーションを取ることができます。

■喜怒哀楽は普通の子どもと変わらない

 おかあさんといっしょの曲を聴いたり、大好きな甘いクリームを食べたりした時には、うれしそうに「ウキャッ」と喜び、DVDが終わると唸って怒ります。自分の頭の中で思っていたことと私たちの反応が違う時には、悲しそうな声を出して泣きます。

 彼女が心地よいと感じることも不快に思うことも、健常のお子さんと何も変わりません。家族だけでなく、長女に関わる多くの方から刺激をもらい、ゆっくりではありますが、今でも少しずつ成長を見せてくれています。

 学校やデイサービスは、彼女とって、欠かせない場所です。3歳で通園(児童発達支援センター)に通い始めたばかりの頃は、家族以外に抱っこされるとずっと泣いていましたが、就学頃には先生や友達を意識するようになり、社会性が芽生えると、さらにコミュニケーションが取りやすくなりました。


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