また、米オハイオ州のクリーブランドクリニックの研究チームが3月、米感染症学会誌に発表した論文によると、昨年8月までにPCR検査を受けて感染が確認されている1278人のうち、62人(4.8%)が、少なくとも90日以上の間隔を空けて検査で再度陽性となり、再感染が疑われたという。

■日本でも変異株まん延

 再感染の発生頻度はまだよくわからないが、起こる主な理由としては、(1)何らかの理由で、最初の感染で体内に強い免疫ができなかった。(2)体内の免疫が時間の経過とともに弱くなっていった。(3)変異株など最初に感染したウイルスとかなり異なる株に再感染した、という三つの可能性が考えられる。

 このうち(2)については、今後さらに時間が経たないとわからない。(3)については、シンガポールの場合は南アフリカ株で再感染が起きていた。

 さらに、ブラジルの研究者は先の「ランセット」誌で、ブラジル北部の中心都市マナウスで、同国で見つかった変異株への再感染が起きている可能性を指摘している。

 また、インドでみつかった変異株は、再感染と同時にワクチンブレークスルーへの懸念も高まっている。世界保健機関(WHO)は5月11日、「懸念される変異株(VOC)」にインド株を加えた。これでVOCは英国株、南アフリカ株、ブラジル株とインド株の4種類になった。

 WHOは、インド株の再感染やワクチンブレークスルーのリスクはまだデータが少なくて結論が出せないとしているが、しっかりした調査が必要だと警鐘を鳴らす。

 日本国内でも変異株がまん延している。ただし、インド変異株は、自治体が実施しているスクリーニング検査をすり抜ける可能性が大きい。

 早急に、インド変異株についてもきちんと把握し、より厳しい対策をとる必要がある。(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

AERA 2021年5月24日号より抜粋