机やイスにカバーがかけられたシンガポールの屋台街(朝日新聞社・5月14日撮影)
机やイスにカバーがかけられたシンガポールの屋台街(朝日新聞社・5月14日撮影)
AERA 2021年5月24日号より
AERA 2021年5月24日号より

 新型コロナウイルスの感染を経験しても再感染する例が出ている。その頻度や考えられる理由とは。AERA 2021年5月24日号から。

【グラフ】日本でも変異株への置き換わりが進む

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 シンガポールでは、寮に住んで建設や港湾、工場の仕事に携わる外国人労働者が約30万人いる。今年4月、そういった外国人労働者の中からも、ワクチンブレークスルー(ワクチン接種後の感染)の起きた人が見つかった。

 感染拡大を防ぐために同じ寮の住人や職場での接触者、近くの寮の住人など5500人以上が検査を受けた。すると今度は、再感染が見つかった。27人は、すでに1回感染したことがあったにもかかわらず、検体から新型コロナのRNAが検出され、陽性と判断されたのだ。

 詳しい検査の結果、2人は陰性、20人は過去の感染の影響でRNAの断片がまだ体内にあり、それが検査で検出されたとわかった。だが残りの5人は再感染だった。うち4人は、南アフリカで見つかった変異株に再感染していた。

■千人に1人が再感染?

 この結果を受け、シンガポール政府は4月下旬から再感染を防ぐために、感染経験者には免除していた定期検査などの感染対策を、感染未経験者と同じ水準に強化した。

 再感染も数は多くないものの、各地で報告されている。

 英国のイングランド公衆衛生庁の研究チームが4月、英医学誌「ランセット」に発表した論文もその一つだ。論文によると、医療従事者約2万6千人を対象に昨年6月から今年1月まで継続的に、2週間ごとにPCR検査をしたり、健康状態を報告してもらったりして調べた結果、すでに新型コロナウイルスに感染した経験がある8278人のうち、153人(1.8%)で再感染が確認された。

 一方、イスラエルの研究チームが3月に公表した論文では、昨年3月から今年1月までにPCR検査を受け陽性だった14万9735人のうち154人は、100日以上の間隔を空けて、2回目の陽性が出た。この結果から、再感染の頻度は1千人に1人程度と推計できるとしている。

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