イラスト/石山好宏
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AERA 2021年4月5日号より
AERA 2021年4月5日号より

 株式投資などで築いた資産をもとにした運用益で生活する――。そんな「FIRE」達成者はいかにして成し遂げたのか。AERA 2021年4月5日号は「FIRE」特集。

【グラフ】運用で元金を増やしながら貯めると10年後には?

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「FIRE」という言葉が注目を集めている。「Financial Independence(経済的な自立)」と「Retire Early(早期退職)」の頭文字で、収入の一定割合を株式などへの投資に回し、ある程度まとまった資産を築いたら早期リタイアして会社や組織に縛られず、主に資産運用益で生活する生き方を指す。

 はいはい、株で儲けた億万長者の話ね──と思うのは早合点。FIRE達成に必要なのは、「収入」「支出」「投資」のバランスだ。生活費をなるべく切り詰め、年間支出を上回る運用収益さえ確保できればFIREは達成できる。たとえば月々の生活費が8万円の人は、2400万円を運用すればよい計算だ。

■「ケチ」で成した1億円

 2020年10月、資産約1億円を築いて会社を早期リタイアした桶井道(おけいどん)さん(47)の会社員時代の年収は、最高でも460万円と民間給与所得者の平均値並みだった。彼の座右の銘は「ケチは財を成す」だ。

 実家暮らしの特権も生かし、入社早々から収入の半分を株式投資と貯金に回し続けた。月々7万円は必ず株式投資か貯金。5万円は貯蓄性の高い個人年金保険などに積み立て、実家に入れる食費は3万円。残った7万~10万円は外食や本代、趣味代に充て、余りは投資か貯金に回す。たまの贅沢はホテルでティータイムを楽しんだり、有名寿司店のランチを食べたり。

「家にある中古品は絶対に捨てずに買い取りショップに持っていき、そこで買い取ってもらったお金は、ブランド品の紙袋50円、外国の古コイン20円でも証券口座に入れて投資に回していました。額は少なくても『貯めたお金は必ず投資に回す』というメンタルだけは維持していたかった。その習慣はFIREを達成した今も変わりません」と桶井道さんは語る。

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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