オンラインだと伝わっているか不安、相手の反応が見えづらく自信を持てない――。すっかり定着したオンライン会議だが、対面と勝手が違うため悩みを抱えている人も多い。パフォーマンスを発揮するために、参加者の「声」をAIで解析することでメンタルの状態を把握する試みが始まっている。AERA 2021年3月22日号は「オンライン会話術」を特集。
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社内や部署内の会議や打ち合わせにおいても、オンラインは日常のものとなった。だが、気心の知れた相手とはいえ、オンラインだと距離を感じてしまったり、上手に発言できなくなったりということも少なくない。
そんな中、昨年4月から登場したサービスが、「リモトーキー」だ。ウェブ会議参加者の声の高さや強さ、スピードなどをAIを使って解析。感情や話し方を可視化する。会議が終了すると、「活性度」「発話量」「音量」の3項目と、そこから弾き出されるメンタルの状態を表示する。
■メンバーの反応が薄い
開発したのはEmpath(エンパス)。現在は無料で複数の企業に試作版を提供し、仮説を検証しながら精度を高めている最中だ。
同社の下地貴明・共同代表によると、開発のきっかけは、自分たちのオンライン会議だった。
「ちょうど去年の春、コロナ禍でリモートワークになり、ウェブ会議をする機会が増えたのですが、会議をやってもメンバーの反応が薄く、全然盛り上がらなくてつらいなあと。そこから、自分たちが持つ技術でなんとか解決できないのかな、という話になりました」(下地さん)
リサーチしてみると、社外からも「対面と比べて伝わっているかわかりづらい」「参加者の反応が見えづらいために自信をもって発言できない」「話す人、話さない人が固定化してしまう」「1対1ならいいアイデアを出してくれる人が、オンライン会議になると貝のように黙ってしまう」など様々な悩みが寄せられた。
2017年創業の同社は独自の感情解析技術を持ち、メンタルヘルス対策やマーケティングに役立つアプリケーションを開発してきた。