■日ごろの家庭での会話

 前出の桜蔭に合格した子の父親は言う。

「ペース配分が大事かと。前半は、難しい問題をやるよりも、基礎固めを中心にするといいと思います」

 この意見に賛同するのは長年、中学受験生の指導にあたる栄光ゼミナール指導統括室の藤田利通さんだ。夏前までは、新しく習う単元もあるため、基礎固めに力を入れ、夏期講習あたりから、志望校対策に入ることを勧めている。まさにいまが、その基礎固めのスタート時期。だからこそ、難しい問題をやって焦ることより、しっかり納得するまで繰り返すことが大事。今をどう過ごすかで後伸びが違うという。

 学習の定着度合いのバロメーターとして見てきた模試の結果も、前期と後期で見方を変える必要があると藤田さん。

「前半にある模試は、これまで同様、到達度テストの要素が強い。夏以降の模試については、偏差値だけでなく、志望校の合格率も出てくる。いまはまだテスト結果で一喜一憂するより、しっかり基礎を固め納得感を得ることのほうが大事です」

(フリーランス記者・宮本さおり)

AERA 2021年2月22日号より抜粋