例えば、大分県の「りゅうきゅう」。数年前に仕事で大分に行き、夕飯を食べようと居酒屋に寄った時、「りゅうきゅう」というメニューを見つけて、なんとなく「沖縄系の料理なんかな…」と思いつつ頼んだところ、思いの外美味しかったのを覚えています。
「りゅうきゅう」とは、醤油やみりんなどをベースとしたタレに胡麻や生姜などを加えて、魚の切り身を漬け込んだもので、大分県の漁師町に伝わる郷土料理です。
由来については、筆者の想像通り、沖縄(琉球)から伝わったという説もありますが、ごまを使った料理が好きだった千利休の「りきゅう」がなまって「りゅうきゅう」となったという説が有力のようです。
そういえばごま和えのことを「利休和え」っていうこともありますよね。元々は、余ったお刺身を保存するためにごま醤油に漬けていたとのことですが、筆者的には、お刺身の「味変(あじへん)」と言った方がしっくりくるような気がします。
新鮮なお刺身はもちろん美味しいのですが、たくさん食べていると味に変化をつけたくなりますよね。そんな時に「りゅうきゅう」にしてみると、みりんの甘さや胡麻の香ばしさが加わって、さらにお酒やご飯が進みます。糖質制限中の方にはおすすめできませんね。
個人的には、脂が乗った魚より、タイや小ぶりのハマチなどのサッパリした魚の方が合うと思いますが、皆さんもぜひいろんな魚で試してみてください。
自分で作るのは面倒だけど一度食べてみたいという方は、ぜひくら寿司へお越しください。12月17日までの期間限定で、魚の伝道師と呼ばれている、上田勝彦氏監修による、「はまちの胡麻醤油漬け」を販売しています。
また同じ期間に、同じく上田勝彦氏監修による「ボラの皮つき炙り」も販売しています。一般的に臭みが強いと言われているボラですが、瀬戸内のきれいな海で育ったボラは嫌な臭みもなく、皮を残して炙ることで、魚独特の風味と旨味を楽しめます。
このように日本にはまだまだ、限られた地方だけの隠れたグルメが存在しています。ぜひ皆さんの地元だけの地元メシを教えてください。それをヒントに、くら寿司の新しいメニューが開発できるかもしれません。
○岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2019年11月から、執行役員 広報宣伝IR本部 本部長
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