1981年にデビューしたスターダスト☆レビューは、40年間ライブを中心に活動。名曲はあるが、国民的な大ヒット曲はない。だが、ひとたびライブを開けば、ほとんどの会場が満席。1年かけて、全国各地くまなくファンに会いにいく。リーダーである根本要さんは、ファンに会うことを一番に考え、音楽と仲間を大事に活動してきた。まだまだ届けたい歌がある。
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8月30日、ゆく夏を惜しむかのように、賑やかな蝉時雨が日比谷公園大音楽堂(野音)を包みこんでいた。青空が夕陽に染まりだす頃、4人組ロックバンド、スターダスト☆レビュー(以下、スタレビ)のコンサートが幕を開けた。
野音でのスタレビライブは毎年の恒例行事。だが、コロナ禍の今年は様相が異なった。政府や都、会場から示された感染拡大予防ガイドラインに基づき、観客は収容人数の半分の1200人に制限。観客の大合唱を回避するため、曲はあえてバラードのラインアップに。題して、<新型コロナ対策ライブ「こんなご時世、バラードでござーる」>。
新型コロナの影響で、スタレビが単独ライブを行うのは、8カ月ぶりのことだった。全国をくまなくめぐる「ライブバンド」のスタレビにとっては、まさしく異常事態。2021年5月にはデビュー40周年を迎えるが、「半年以上ライブがないのは、デビュー以来初めての経験」だと、リーダーで、ギター&ボーカルの根本要(63)はいう。
根本はステージに立つや感極まって、歌いながら声を詰まらせていた。「ふたり」を演奏後のMCでは「会いたかったよー!」「本当に、ようこそいらっしゃいましたー」と、まるでライブをやり遂げた最後の挨拶のように、深々と頭を下げた。
日はとっぷりと暮れ、月が浮かぶ夜空に、ハイトーンでソウルフルな根本のハスキーボイスがこだまする。根本はエンディングに近づく「うしみつジャンボリー」前のMCで、客席で叫ばないようにとの配慮から、「コール&レスポンス」ならぬ「コール&“ノー”レスポンス」を呼びかける。ファンは拳を突き上げ、手拍子と振りとで「声なしレスポンス」を目一杯ステージに返す。ステージと客席との一体感は、見事としか言いようがない。