東浩紀「日本学術会議の任命拒否問題は菅政権のしたたかな戦略かもしれない」

eyes 東浩紀

東浩紀

2020/10/15 16:00

東浩紀/批評家・作家。株式会社ゲンロン取締役
東浩紀/批評家・作家。株式会社ゲンロン取締役
※写真はイメージ(gettyimages)
※写真はイメージ(gettyimages)

 批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。

*  *  *
 日本学術会議の任命拒否が大きな話題になっている。

 日本学術会議は内閣府の「特別の機関」で会員は首相により任命される。従来任命は形式的なもので、同会議の推薦に基づき行われてきた。それが今回は6人について任命を拒否したというのである。

 拒否された候補はいずれも政権批判の過去があり、学問の自由の侵害との声が高まっている。政権は、任命権は首相にあると主張しているが、それが37年前の国会答弁と矛盾していること、また拒否理由を開示していないことも非難を強めている。有識者や各学会からも批判が相次いでいる。当然の反応だといえる。政府には丁寧な説明を求めたい。

 しかしその前提のうえで考えたいのは、なぜいま菅政権がこんな「暴挙」に乗り出したかということである。むろん言論統制の欲望は確かだ。任命拒否は明らかにイデオロギー的な理由で行われている。

 だがその欲望が高支持率を背景に暴走したと捉えるのはいささか素朴すぎる。政権は任命拒否が強い反発を呼ぶことはわかっていたはずだ。それでも「勝てる」という計算が働いたのではないか。

1 2

あわせて読みたい

  • 東浩紀「今こそ問いたい『民主主義とは何か』 実は未完成な理念であり制度である」
    筆者の顔写真

    東浩紀

    東浩紀「今こそ問いたい『民主主義とは何か』 実は未完成な理念であり制度である」

    AERA

    11/26

    東浩紀「立憲民主党の次期衆院選公約に失望 生活者が望んでいるのは日常の回復だ」
    筆者の顔写真

    東浩紀

    東浩紀「立憲民主党の次期衆院選公約に失望 生活者が望んでいるのは日常の回復だ」

    AERA

    9/21

  • 「杉田官房副長官、和泉補佐官に政権批判した学者を外せと言われた」学術会議問題を前川喜平氏語る

    「杉田官房副長官、和泉補佐官に政権批判した学者を外せと言われた」学術会議問題を前川喜平氏語る

    週刊朝日

    10/4

    古賀茂明「間違いだらけの学術会議の常識」
    筆者の顔写真

    古賀茂明

    古賀茂明「間違いだらけの学術会議の常識」

    週刊朝日

    11/10

  • 東浩紀「新総裁の決定で影が薄くなった野党 総選挙では野党起点で旋風を」
    筆者の顔写真

    東浩紀

    東浩紀「新総裁の決定で影が薄くなった野党 総選挙では野党起点で旋風を」

    AERA

    10/5

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

コメント

カテゴリから探す