「一方的なものではなかったことが、いちばん良かった」(男性の娘)

 実は同寺は、新型コロナの感染拡大以前から、オンライン化に取り組んできた。昨年7月頃からは職員一人ひとりにノートパソコンやスマホを支給、職場の一部はフリーアドレス制になった。同寺の副宗務長、東森尚人さん(51)はこう話す。

「昨年からZoomも導入し、『法事もオンラインでできるのでは』という声はすでにありました。感染拡大によってご命日なのにお参りできないご家族がおられることが心苦しく、早くなんとかしなければと思いました」

 テストを重ね、5月11日からオンライン法事を開始した。利用はこれまでに35件。以前から同寺と付き合いのある関東圏の人が多いが、中にはインドからの利用者もいたという。

(編集部・小長光哲郎)

AERA 2020年8月10日-17日合併号より抜粋

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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