AERA 2020年7月20日号より
AERA 2020年7月20日号より

 コロナ禍で太った人は、夜型や不規則な生活になっていないだろうか。実はそうした生活の乱れが、体内時計を狂わせ肥満リスクを高めるという。正しく保つためにはどうすればいいのか。AERA 2020年7月20日号は、時間栄養学の第一人者に詳しく聞いた。

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 外出自粛やリモートワークにより、1日のタイムスケジュールに変更が生じた人は多いだろう。睡眠改善事業を展開するブレインスリープが4月17~20日、男女千人を対象に行った調査によると、新型コロナ感染拡大によって働き方に変化があった人のうち、21.8%が就寝時間が「遅くなった」と回答している。

 時間栄養学の第一人者で、早稲田大学先進理工学部の柴田重信教授(66)はこの事態に警鐘を鳴らす。

「夜型や不規則な生活は、肥満リスクを高める可能性があります」

 夜遅くに食事をとると太りやすくなることはよく知られている。これは一つには、人間の持つ時計遺伝子の一種であるビーマルワン(Bmal1)による作用だ。ビーマルワンには脂肪の蓄積を促す働きがあるが、22時から深夜2時にかけて激増し、14時頃に最少となる。インスリンの働きの違いで、夜の食事は同じ量の朝食に比較して血糖値が下がりにくく、また夜は筋肉を動かす機会が減るので糖を消費しにくく、この余った糖が脂肪蓄積に回される。同じ量を食べたとしても、夜遅く食べるほうが脂肪になりやすいのはこのためだ。

 さらにこんな実験もある。高カロリーの餌をマウスに与えても、活動時間帯にはほとんど食べようとしなかった。ところが、就寝時間に近くなると食べだし、最終的には睡眠を中断してまで食べるようになった。また、体内時計が乱れたマウスに高カロリーの餌を与えると、普通のマウスより早く肥満になったという。

「夜型の生活は甘いものや脂肪に対する欲求を高め、食欲に歯止めがきかなくなります。そして体内時計が乱れると、さらに肥満が進むという悪循環が起こります」(柴田教授)

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