宿泊客が来ると、ロボホンのカメラが検知し、離れた事務所にいるスタッフにメールを送信。スタッフはスマホやタブレット端末を用いて客の顔や音声を確認。必要なメッセージを入れるとロボホンがそれを伝える。客も問いかけたい内容をロボホンに言えばスタッフに伝わる。ロボホンを通してコミュニケーションができ、チェックイン・アウトができる。

「ロボホンにフロント業務を任せられるようになれば、ひとりのスタッフで複数のホテルに対応できる。それで空いた時間を、人しかできないことに有効活用させたい」(「bnb plus」の豆塚真也さん)

 コロナの影響で多くのホテルやレジャー産業は苦境に立たされている。それだけに「人集め」につながるロボットへの期待も大きい。

 人間だと思ってフロントに近づいたらロボットだった──。一見しただけでは間違いなくギョッとするのが、「HISホテルホールディングス」が展開する、その名も「変なホテル」だ。世界初のロボットが働くホテルとしてギネス世界記録に認定されている。

「うちのような100室規模のホテルでは1日平均のべ5~6人、フロント業務に必要なのですが、ロボットのおかげで3分の1の人員で済んでいます」(広報担当の松本真実さん)

 フロントの前に立つとセンサーが稼働し、チェックイン・アウトの仕方を人型ロボットが説明してくれる。取材した赤坂店は人型ロボットだけだったが、舞浜東京ベイ店など家族連れが多いホテルでは恐竜ロボットがお出迎え。“会話なし”でチェックイン・アウトができる。

「コロナ対策で人との接触を極力避けたいというお客様には高評価をいただいています。厳しいホテル競争において、ロボットを置く意味は大きい」(同)

 ロボットにしかできないものがあれば、人にしかできないものもある。それを「溝」と捉えるのではなく、アフターコロナではより一層の「ウィズロボット」が求められるだろう。(ライター・羽根田真智)

AERA 2020年6月22日号より抜粋