「戦後教育で育った自分とは?」 美術家・森村泰昌からの「問い」を感じる展覧会 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「戦後教育で育った自分とは?」 美術家・森村泰昌からの「問い」を感じる展覧会

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矢内裕子AERA
森村さんの初期の代表作である「肖像(双子)」(左)と、30年後に手がけた「モデルヌ・オランピア」(右)。いずれもマネの「オランピア」を題材にしている(撮影/木奥惠三)

森村さんの初期の代表作である「肖像(双子)」(左)と、30年後に手がけた「モデルヌ・オランピア」(右)。いずれもマネの「オランピア」を題材にしている(撮影/木奥惠三)

布地に墨で森村さんが書いた「マニフェスト(烈火の季節)」。会場にはさまざまな言葉も展示されている(撮影/木奥惠三)

布地に墨で森村さんが書いた「マニフェスト(烈火の季節)」。会場にはさまざまな言葉も展示されている(撮影/木奥惠三)

休館前に行われた、映像作品「エゴオブスクラ」の、レクチャーパフォーマンス。映像は「ポートレイト(女優)/駒場のマリリン」の一場面(撮影/木奥惠三)

休館前に行われた、映像作品「エゴオブスクラ」の、レクチャーパフォーマンス。映像は「ポートレイト(女優)/駒場のマリリン」の一場面(撮影/木奥惠三)

 来年1月に閉館予定の東京の原美術館。誰かの邸宅に招かれたような雰囲気の中で、美術家・森村泰昌が挑むのは、「さまよえるニッポンの私」というテーマだ。AERA 2020年6月1日号に掲載された記事で、森村泰昌のアイデンティティに迫る。

【写真】布地に墨で森村さんが書いた「マニフェスト(烈火の季節)」

*  *  *
 東京・品川の原美術館で1月下旬に始まった「森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020──さまよえるニッポンの私」展は、オープン早々評判となり、美術家の森村泰昌さん(68)が登場するレクチャーパフォーマンスはあっという間に予約で埋まった。「エゴオブスクラ(Ego Obscura)」とは森村さんの造語。「闇に包まれた曖昧な自我」という意味がこめられている。

 日本の近現代史と自らを結ぶ線を探し、「私とは何か」と問いかける意欲的な展覧会だが、新型コロナウイルスの感染拡大により、3月28日から臨時休館中。会期を7月12日まで延長し、再開を目指している。

 2018年、森村さんはニューヨークのジャパンソサエティーで展覧会「Yasumasa Morimura:Ego Obscura」展を開催した。今回の展示は、その凱旋(がいせん)展と位置づけられる。

 原美術館は、昭和初期に建てられた個人の邸宅を展示空間として使っている。庭に面してカーブした廊下など、効率性でははかれない、居住空間ならではの面白さがある。誰かの家に招かれたような独特の雰囲気も魅力のひとつだ。

 本展では建物の1、2階を使って、セルフポートレート、展示空間も含めたインスタレーション作品、直筆で書かれた言葉、そして映像作品「エゴオブスクラ」と、20作品が展示されている。

 たとえば「モデルヌ・オランピア」と同作に使用した装置を展示した「“オランピア”の部屋」など、作品を構成する様々な要素が完成作とともに並ぶ。

 また入り口(玄関)を入ってすぐ、最初の展示室の中央には「“エゴ・オブスクラ”の部屋」と題したインスタレーション。椅子と鏡、そしてウィッグののったサイドテーブル。本展が作品制作の過程まで見せることを暗示しているようだ。


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