野尻広明(のじり・ひろあき)/三菱UFJ国際投信 デジタル・マーケティング部 シニアマネジャー(撮影/写真部・加藤夏子)
野尻広明(のじり・ひろあき)/三菱UFJ国際投信 デジタル・マーケティング部 シニアマネジャー(撮影/写真部・加藤夏子)
信託報酬がたった0.6%違うだけでも、20年で収益に20%近くの差がつく例
信託報酬がたった0.6%違うだけでも、20年で収益に20%近くの差がつく例

 この春、投資信託の積み立てを始めようと思った初心者に注意してほしいのが「信託報酬」。運用に成功してもコスト負けして損益がマイナスになりかねない要注意ポイントだ。アエラ増刊『AERAMoney 今さら聞けない貯金の基本』(朝日新聞出版)では、信託報酬がどのくらい“儲け”に影響するのかをシミュレーションした。

【図表】たった0.6%の信託報酬の差、20年でここまで違う!

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 投資信託は、買った時、保有している時、売る時に、それぞれコストがかかる。買う時にかかるのは「販売手数料」。投信を販売している証券会社や銀行に支払う。
 
 保有している間(運用中)にかかるコストは「信託報酬」といい、運用会社に投資をお任せしてしまう「お礼」のようなもの。通常は年率何パーセントという形で表示されるが、投資信託の毎日の価格から間接的に差し引かれている。

 投資信託を売却するときにかかることがあるのが、「信託財産留保額」。最近は無料の投資信託も増えてきた。あなたが投資信託を売る手続きをすると、運用会社は運用資産の一部を現金化して返してくれるわけだが、その際の「手間賃」のようなものだ。
 
 最近はネット証券経由で購入する投資信託を中心に、販売手数料は0円が当たり前になっている。一部の銀行や証券会社の窓口販売などでは、いまだに販売手数料が2~3%もするような投資信託が存在するが、そういう高コストな投資信託は、初心者は避けよう。売却時の信託財産留保額も、インデックスファンドは0円のものが多い。

■信託報酬の安さで運用にも大差

 アエラ増刊『AERAMoney 今さら聞けない貯金の基本』では、信託報酬がどのくらい“儲け”に影響するのかをシミュレーションしている。ヒントをくれたのは、三菱UFJ国際投信デジタル・マーケティング部の野尻広明さん。

「指標となる株や債券の指数に連動した投資成果を目指すインデックスファンドの場合、どれを購入しても、値動きは指数と一緒になるはずです」(野尻さん/以下同)

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