休校中の体調管理のため、健康チェックカードが配られた学校もあった (c)朝日新聞社
休校中の体調管理のため、健康チェックカードが配られた学校もあった (c)朝日新聞社

 新型コロナウイルス感染拡大の防止のため実施された一斉休校。生活のリズムの乱れや疲れやすくなるなど、子どもたちに弊害をもたらしている。AERA2020年4月13日号は、そうした不安を抱える親子がとるべき対策を紹介する。

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 卒業式は次のステップに進むための節目だ。ところが、実施されなかったり、縮小する学校が全国で相次いだ。

「娘の中学で卒業式がなくなり、泣いた子もいたそうです。記念写真も撮れず、最後の登校日に自分たちでスマホで撮ったようです」(39歳女性)
「小6だった娘は、卒業式の呼びかけ役になっていて一生懸命練習しましたが、式は縮小され、卒業証書の授与も、呼びかけもなくなりました」(41歳女性)

 ロスを抱えた子どもたちは、気持ちに区切りをつけ、中学や高校などの新生活にうまく切り替えられるのか。カウンセリングを多く手がける、明治大学の諸富祥彦教授は言う。

「こういうときは親のほうから『かわいそうだね』『残念だった』と言ってはいけません。『やはり、私はかわいそうなんだ』『私たちの世代は損している』と子どもの気持ちが増幅されます。自分から言ってきたときに初めて『大丈夫だよ』と受け止めてあげることです」

 諸富教授は、入学式がなくなるケースのほうが心配だという。中1ギャップという言葉があるように、うまく移行できない子はもともといる。通過儀礼ではずみをつけ、新しい世界に入っていくのが難しくなるからだ。

 生活面の不安の声もあがる。大阪市の男性(41)は小学3年と保育園児の「生活リズムの乱れ」が心配だ。夜型になり、朝、なかなか起きられなくなった。北海道に住む中学1年生も、親と一緒に夜のドラマを見るようになり起床時間が遅くなった。4月から通う中学は遠方で早起きが必要だ。

 諸富教授は「生活リズム」はなにより大事と言う。不登校は心理的要因がきっかけでなるが、直接的には「生活リズムの崩れ」から来る。

「体が家にいることに慣れきって、学校に行けなくなるのが不登校です。子どもたちは『強制不登校状態』を強いられたわけですから。コロナリスクは不登校リスクです」(諸富教授)

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