ネットフリックスのアニメコンテンツ施策が勢いづいている。アニメ制作会社やクリエイターとタッグを組み、新たなオリジナル作品を世に送り出す予定だ。こうした動きがいま、アニメ業界の構造をも変えようとしている。AERA2020年3月16日号は、「メガヒットの条件」を特集。ネットフリックスとアニメ制作会社に取材した。
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世界中にファンが存在する日本のコンテンツがある。アニメだ。
ヨーロッパにも南米にも「セーラームーン」や「エヴァンゲリオン」のファンがいる。各国それぞれでみるとファンは少数だが、グローバルで積み重ねると相当の数になる、いわば「グローバルニッチ」だ。
ヒットコンテンツを生む力の一つとして、これらグローバルニッチをどうつかみ取るかにヒントがある。
■クリエイターとタッグ
2月25日、東京・表参道。ネットフリックスの社内は記者でごった返していた。
「今回ネットフリックスとして、6組の作家の先生方とパートナーシップを組み、今後オリジナル作品を作らせていただくことになりました」
同社はこの日、アニメコンテンツに関する新規施策として、女性漫画家集団のCLAMPや漫画原作者の樹林伸、「テルマエ・ロマエ」のヤマザキマリなど6組とのオリジナル企画・制作におけるパートナーシップを発表した。
記者会見で壇上に上がったのはネットフリックスのアニメチーフプロデューサーの櫻井大樹さん(42)。櫻井圭記の名で「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」の脚本等を手掛けたほか、前職で「サイボーグ009」シリーズをネットフリックスで配信するにあたり当時の米国担当と交渉を続けていた人物だ。櫻井さんが入社した17年以降、ネットフリックスのアニメ施策が一段と活性化している。
まず、18年のアニメ制作会社、プロダクション・アイジーやボンズとの包括的業務提携契約の締結だ。翌年にはさらにサブリメイション、アニマ、デイヴィッドプロダクションの3社とも提携を結んだ。アニメに詳しくなければその狙いが伝わりにくい提携。だが、アニメ業界関係者の目には納得感をもって伝わっているようだ。