働く上で大事にしていること(AERA 2020年2月17日号より)
働く上で大事にしていること(AERA 2020年2月17日号より)
変化に対応する力を知る(AERA 2020年2月17日号より)
変化に対応する力を知る(AERA 2020年2月17日号より)

 働き方を変えるには、今の自分にできることを知り、先を見通す作業が欠かせない。15年後にやりたいことを思い描き、働くペースや環境を整える一歩を踏み出そう。AERA2020年2月17日号では、自らが納得できるキャリアを築くための具体的な方法を紹介する。

【チェックシート】あなたの変化に対応する力は?

*  *  *

 これからの働き方を考えるために、欠かせないことは何か。

 まずは自分を知ること。そのために必須の作業は、働き手としての自分の価値を知ることだ。専門分野の資格や技能、知識だけではない。これまでに培った経験や人間関係、仕事をする上で大事にしている価値観も立派な資産になる。

 働くペースを緩めたからといって、「下り坂」と思う必要はない。

「働き方に上りも下りもありません。自分の納得のいくキャリアを築くためには『視点の転換』が必要です」

 リクルートキャリアコンサルティングの久安美沙子・ソリューション開発室長はこう強調する。視点を変える最初のステップとして、キャリア資産を「働く上での価値観」「変化対応力」「強み・持ち味」「人脈」の4類型に大別。点検シートを用いて、キャリアの具体化や「見える化」を促している。

 今回本誌は、主に大手企業の40歳以上を対象に有料で実施している研修の内容を取材。点検シートの抜粋と共に公開する。

「働く上での価値観」とは、どんなことに重きを置いて働いてきたか、という軸を指す。「自分のアイデアを活(い)かせる」「社会に貢献しているという実感を持つ」など久安さんらが行う研修では45項目を列挙。何を大事にしたいのか自覚できれば、職種ではなく、価値観が合うかどうかで仕事を選ぶことも可能になる。

「変化対応力」では、変化をチャンスと受け止められるかを問う「変化への前向きさ」のほか、「変化への柔軟性」「楽観性」「自分なりの判断軸をもっているか」といった特性も点検する。

「できていない」ことが多い場合、これから意識していきたいことを決め、周囲で得意としている人の行動を観察し、できることから真似(まね)をするのが有効という。日常の仕事を通して意識的に取り組みたい。

「強み・持ち味」は、「対人」「対課題」「対自己」に分け、掘り下げていく。人と向き合うとき、他者との信頼関係を築く「人間関係を作る力」があるか。課題と向き合うとき「アイデアを形にする力」があるか。自己と向き合う際、感情に流されないように自分をコントロールする「自分の状態を整える力」があるか、といった具合に強みの本質を浮かび上がらせる。チームで働くのがよいのか、独立するほうが自分を生かせるのか、働く環境に目を向けるきっかけにもなる。

著者プロフィールを見る
渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

渡辺豪の記事一覧はこちら
次のページ