小保方さんは「STAP細胞」の発見、小室さんは「皇族との結婚」目前、ある種の頂点に立った。経緯も状況もまるで違うが、今そこにいないことは共通だ。頂点が高ければ高いほど、いなくなったことを叩(たた)きやすいし、叩けば溜飲(りゅういん)が下がる。そして2人は「読まれる人」になる。

 世の中の空気をそう理解すれば、400万円を返済してもなお、あげつらう人は消えない。そんな気がするのだ。

 結局、最後は2人の決断だと思う。「再延期」も報じられているが、どう決めたところで、何かは言われる。だから、「熟慮したが、とにかく結婚する」のも一つ、「借金を返し、結婚する」のも一つ。「皇籍を離脱し、一般人になって結婚する」という道を、皇室典範に照らし合わせて提案する元官僚の文章も読んだ。時間をあけ、一時金を辞退し、結婚するという道筋で、大胆かつ有効だと思う。

 いずれにしても眞子さまには、自分の気持ちを大切にしていただきたい。月のうさぎを信じるように、自分の気持ちを信じることだと思う。人生は他の誰でもない、自分で歩むものだから。

 眞子さまの倍も生きている者として、ささやかに思っていることだ。(コラムニスト・矢部万紀子

AERA 2020年2月3日号

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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