欧米に限らず世界各地から来日する外国人旅行者のアテンドをするコーディネーターの女性によれば、彼らにとって海外で10万円以上が当たり前の鮨が、その半額で、かつ数倍のクオリティーで食べられる日本の予約困難店は確かに魅力的だという。加えて、気軽な雰囲気と手頃な値段で本物の美味しさに出合える酒場や居酒屋が充実しているのも東京の懐の広さだと彼らは感じていると語る。

「例えば、スペインのバスク地方は美食の街として名高い。けれども、そこで食べられる料理のジャンルは限定されている。東京は都市としてのスケールも、料理のジャンルも、店の数も比べものにならない。こんなに食の多様性に優れた都市は世界にはありません」

 東京オリンピック開催を契機に日本の飲食シーンがどう進化するのか、今から楽しみで仕方ない。(編集部・中原一歩)

AERA 2020年1月20日号より抜粋