英国映画が描くギグエコノミーのリアル 他人事と思えない衝撃のラストとは? (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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英国映画が描くギグエコノミーのリアル 他人事と思えない衝撃のラストとは?

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坂口さゆりAERA
Ken Loach/1936年6月、英国生まれ。オックスフォード大学卒。67年「夜空に星のあるように」で長編映画監督デビュー。「ケス」が国際映画祭で注目されて以後、世界三大映画祭で数々の賞を受賞。一貫して労働者や社会的弱者に寄り添う作品を撮り続ける (c)Kazuko Wakayama

Ken Loach/1936年6月、英国生まれ。オックスフォード大学卒。67年「夜空に星のあるように」で長編映画監督デビュー。「ケス」が国際映画祭で注目されて以後、世界三大映画祭で数々の賞を受賞。一貫して労働者や社会的弱者に寄り添う作品を撮り続ける (c)Kazuko Wakayama

「家族を想うとき」/企業の理不尽なシステムを問う。東京・ヒューマントラストシネマ有楽町他全国順次公開中(写真:Joss Barratt, Sixteen Films 2019)

「家族を想うとき」/企業の理不尽なシステムを問う。東京・ヒューマントラストシネマ有楽町他全国順次公開中(写真:Joss Barratt, Sixteen Films 2019)

「ケス」/発売・販売元:20世紀フォックス、ホーム エンターテイメント ジャパン、価格1419円+税/DVD発売中 (c)2017 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

「ケス」/発売・販売元:20世紀フォックス、ホーム エンターテイメント ジャパン、価格1419円+税/DVD発売中 (c)2017 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

 ほとんど寝る時間もなく働いて家族との団欒(だんらん)が持てないとはどういうことなのか。日本の「働き方改革」も要注意だ。

「(こうした働き方の我慢できない現状は)英国だけではなくEUでも、世界中で問題になっているのではないか。私たちは結託して、個人が豊かな人生を送れるように、何かしら動かなければいけないと思います」

◎「家族を想うとき」
企業の理不尽なシステムを問う。東京・ヒューマントラストシネマ有楽町他全国順次公開中

■もう1本おすすめDVD 「ケス」

「家族を想うとき」のラストシーンを見て、初めてケン・ローチ監督作品を見たときの衝撃を思い出した。それが、長編2作目「ケス」(1969年)だ。

 少年ビリーは炭鉱で働く年の離れた暴力的な兄と母と3人暮らし。父親は蒸発して家庭は貧しく、ビリーは新聞配達をしながら暮らしている。勉強も運動も苦手で学校にも居場所がないビリーがある日、ハヤブサのひなを見つけて持ち帰る。彼はひなにケスと名付け、1人で世話をしながら絆を深めていくのだが……。

 家族の愛を実感することなく、友人のいないビリーにとって、ケスを一生懸命育てようとする思いは熱い。勉強が得意でないはずの彼が、難しい専門用語で書かれた本さえ読み込み、育て方や訓練方法を学んでいく。

「ケスはペットじゃない、僕の周りを飛んでくれているだけでうれしいんだ」

 ケスを育てることで孤独だった少年の世界に光が差す。ケスは唯一の親友であり、希望となる。だが、現実世界は容赦がない。その結末は、今も忘れられない映画として記憶に残る。以来、ローチ監督作品は見ずにはいられない映画となった。

◎発売・販売元:20世紀フォックス
ホーム エンターテイメント ジャパン
価格1419円+税/DVD発売中

(フリーランス記者・坂口さゆり)

AERA 2019年12月23日号


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