――和嶋さんと鈴木さんは青森県立弘前高校の同級生でずっと一緒に音楽活動をされてきて、高円寺出身のナカジマさんは2004年にバンドに加入しました。

ナカジマ:二人は10代の頃から、同じ言葉で、同じタイミングで、同じレコードを聴いているといった経緯があるから、加入当初は、曲をアレンジしていく場面で二人が言葉なしにあうんの呼吸で進んでいくのに、びっくりしたことがあります。例えば、曲はだいたい4小節区切りで進んでいきますが、当然そうだと思ってアレンジしていると、急に次の展開では6小節区切りに変わったりするんです。それを何も会話せず、打ち合わせなしに、当然のように二人の演奏は進んでいくんですよ。で、俺だけ2小節あまってる、みたいな(笑)。

和嶋:美意識が近いんですよ。かっこいいものとかっこわるいものの判断が、鈴木君と僕は同じ。

鈴木:音楽に関しては同じ。和嶋君は本当にまめで、僕はすごい雑です。自分は本来サラリーマンとか、そういう普通の仕事で本領を発揮したと思っているんだけど、和嶋君は音楽をやったことで水をえた魚のように生き生きしていますよ。大学卒業する時に弘前市役所の試験に落ちて、本当によかった。

和嶋:父親に受けろと言われて受けましたが、まるで合格する気はなく……。僕も心の中に頑ななものがあり、好きなことをやってしか生きていきたくないというのがあって。親には悪いことをしました。

――鈴木さんは上智大学外国語学部ロシア語学科のご出身です。卒業時は就職も内定していたのに、それを蹴ってバンド活動を続けました。

鈴木:浪人時代は、これ以上ないっていうくらい勉強しましたよ。いま53歳だけど、53年間生きていてあんなに頑張って充実していた日々はない。あの一年が一生で一番頑張った。キッスも聴かずに。ヘッドフォンをガムテープでぐるぐるまきにして、受かるまで聞かないと、断酒じゃないが断音楽。それでちゃんと成果が出て、合格。人生最高の嬉しさで。

和嶋:やると決めたらすごく勤勉。

鈴木:浪人時代は楽しかったような気がするな。頑張っている自分に酔っていた。その一年ストイックにやりすぎて、その後のびたゴムのようになってしまった。

和嶋:僕は浪人の1年間ほどダメだった時期はない。それを取り返そうと思っていま頑張っている気がします(笑)。

次のページ
ドラムと理系的センスの関係