一人の新聞記者を通じ、日本のいまを問う 森達也監督渾身のドキュメンタリー (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

一人の新聞記者を通じ、日本のいまを問う 森達也監督渾身のドキュメンタリー

このエントリーをはてなブックマークに追加
中村千晶AERA
先行上映された第32回東京国際映画祭では作品賞を受賞している (c)2019「i-新聞記者ドキュメント-」製作委員会

先行上映された第32回東京国際映画祭では作品賞を受賞している (c)2019「i-新聞記者ドキュメント-」製作委員会

森達也(もり・たつや)/1956年、広島県生まれ。映画監督、作家(撮影/今村拓馬)

森達也(もり・たつや)/1956年、広島県生まれ。映画監督、作家(撮影/今村拓馬)

 東京新聞社会部・望月衣塑子記者を追った「i−新聞記者ドキュメント−」が公開中だ。なぜ望月記者にカメラを向けたのか? AERA 2019年12月2日号に掲載されたインタビューで、森達也監督が語るもう一つの「新聞記者」とは。

【森達也監督の写真はこちら】

*  *  *
「納得できる答えをいただいていないので、繰り返しています」

 2017年、官房長官の定例会見でこう問い続ける姿が話題になった。東京新聞社会部の望月衣塑子記者(44)だ。

 同年、望月記者はノンフィクション『新聞記者』を刊行。それが河村光庸プロデューサー(70)の目にとまり、今年6月、藤井道人監督の映画「新聞記者」が公開された。女性記者をシム・ウンギョンが演じ、現在進行形の政治事件をモデルにした生々しさで、大ヒットを記録した。

 11月、今度は望月記者を追ったドキュメンタリー「i−新聞記者ドキュメント−」が公開された。河村氏がプロデューサーを、監督はオウム信者を被写体にした「A」、ゴーストライター騒動をテーマにした「FAKE」などで知られる森達也氏が務めた。河村プロデューサーにはもともと「フィクションとドキュメンタリー両方を作る構想があった」と森監督は打ち明ける。

「当初はフィクション版『新聞記者』を撮るつもりだったけれど、諸事情あって降板した。思い入れがあったので、ドキュメンタリーを撮ることにしました」

 撮影は昨年12月から約10カ月間。映像には、各地で現場の声を拾い、記者会見で伝えようとする彼女の姿が捉えられている。撮影の前後で、望月記者の印象はまったく変わらなかった。

「彼女を突き動かしているのは、『声なき人の声を伝えたい』という強い思いです。裏表はないけれど、決して完璧な記者ではない。でも、メンタルが強い。ほぼ孤立しながら続ける官邸記者会見での質問も、僕だったら3日でやめちゃうと思う」

 作中には菅官房長官をはじめ、前川喜平氏、伊藤詩織氏、籠池夫妻など渦中の人物が登場する。

「結局、自分が描きたいのは“日本社会”です。オウムやゴーストライター騒動を通してそれをやり、今回は望月記者を通して、日本の“いま”を考えました」


トップにもどる AERA記事一覧

続きを読む

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい