・少しくらいなら待たせよう


 泣いている赤ちゃんを、抱っこやおんぶをすることは、安心感を持たせるための大切なこと。でも、毎回毎回、抱っこやおんぶをしていると、親のほうがしたいことができません。ずっと抱っこは身体の負担になることもありますので、「赤ちゃんが泣いた!」から「すぐに対応する!」必要はありません。少しくらいの時間なら、泣いていても待たせましょう。「お母さんはここにいるよ」「お父さんもいるよ」などと、知らせるだけで大丈夫です。ただ、赤ちゃんを待たせる部屋の環境は赤ちゃんにとって安全に整えます。

・「待っててね」の声かけをする
 黙って目の前からいなくなると不安になるので、赤ちゃんのそばを離れるときは、声かけをしましょう。「トイレに行くね。すぐに戻るから、待っててね」と。赤ちゃんもある程度、言葉の理解や表情を読み取ることができますので、どうせわからないだろうと思わずに声をかけましょう。赤ちゃんが遊びに集中している時は、声をかけないほうが泣かれずに済むこともあるかもしれませんが、「急にお母さんがいない!」などと気づいた時に、不安が増しますので声かけしたほうがいいでしょう。トイレから戻ったら「待っててくれたね。ありがとう」と声をかけ抱っこします。「お母さんは必ず戻ってくるんだ」という経験を何度も積むことで、「トイレに行ってもすぐに戻ってくるから大丈夫」と分かるようになるのです。

●後追いがない子は大丈夫?

 赤ちゃんには個性がありますので、後追いが少ない、またはない子も中にはいます。後追いが激しく出るのは、「お母さんが赤ちゃんにとって『特別な人』だから」と言われると「うちの子は後追いしないけど大丈夫?」「親子関係は大丈夫?」と不安を感じてしまうかもしれませんが、よく赤ちゃんを観察してください。お母さんが移動するときに、目で追っているはずです。目で追ってお母さんの位置関係を確認し「大丈夫。お母さん遠くに行ってない」と判断して、また遊び始めます。

 また、上にきょうだいがいたり、祖父母と同居したりしていると、お母さん以外の安心できる人がいるので後追いが出ない場合もあります。後追いが少ない、ない子に対しても、そばを離れるときは「ご飯作るね」「トイレに行ってくるね」などと声をかけます。泣かないからと言って、黙ってそばを離れないようにしましょう。

 後追いが激しい時期は家事がスムーズに進みません。赤ちゃんが寝ている時がチャンス!と慌てて家事などをしていると、リラックスする時間がなくなることもあります。赤ちゃんの後追いがある時は、家事まで完璧にこなさなくても大丈夫。「今はできない」と割り切ることも大切です。イライラしたら大きく深呼吸して、好きなおやつを一口パクリと食べて心を落ち着かせましょう。

 後追いは、赤ちゃんが大好きで大好きで仕方がない人のことを、とにかく追いかけ続ける!と言う行動。こんなに追いかけられることは、今後ありません。今しかない赤ちゃんの姿を「かわいいな」と思い、楽しめるくらいの気持ちでいれたらと思います。(文/中田馨)

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中田馨

中田馨

なかた・かおり/1978年生まれ。兵庫県の認可保育園、中田家庭保育所施設長。一般社団法人離乳食インストラクター協会代表理事。保育士目線の離乳食講座受講生は4年で2000人。自身も中3男子、小5女子の子育て中。

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